title-logo

⇒ 自然・科学系記事一覧

電子の移動速度は遅いのに電気の速度が速い理由

電気の流れる速さは光や電波の速さと同じで秒速約30万kmです。 ですから、衛星を経由した電話やテレビなどのように、超遠距離を伝送されたもの以外は人間の感覚からすれば瞬時に信号が届きます。テレビのデジタル化による遅延は、デジタル信号から画像や音声をデコード(復元)するために生じる遅れです、ですから、テレビによって遅延時間が異なります。
さて、電気は何かというと、原子の中心にある原子核から最も遠い位置にある電子が原子核の束縛から解放されて一方向に動き出した状態です。
ということは、電気が電子の流れなら電子の速度も秒速約30万kmかというと、電子の流れは通常ははるかに遅く秒速1mm以下です。 もっと速くするには電圧をかけて加速させる必要があります。
ブラウン管を使ったテレビ受像機や光の代わりに電子を使う電子顕微鏡などでは、数万から数百万ボルトの電圧で電子を引き寄せて電子の速度を加速させています。

電気は、銅の様に電流が流れやすい金属を線状にした電線を使って利用します。工場の大きなモーターを動かす用途には3本一組の電線を使うことが多いですが、乾電池で豆電球(またはLED)を光らせたり、一般的な家庭用電気器は2本一組の電線を使います。
2本一組の電線を、抵抗R、コイルL、コンデンサーCという電子部品で表すと下図になります。
実際の電線には抵抗やコンデンサー、コイルは付いていませんが、電線は微小な抵抗やコンデンサーやコイルの集合体と考えます。
2本一組の電線を電気回路記号で表すした圖
コンデンサーCに並列接続しているGは電線の間を流れる漏れ電流が流れます。

ここでは、計算を簡単にするために、下図の様に、電線は理想的なもので抵抗と漏れ電流は無いと仮定します。
抵抗と漏れ電流が無い理想的な電線を電気回路記号で表した圖
この理想的な電線を電源に繋ぐと、コンデンサーCとコイルLに電流が流れます。
コイルLに電流が流れると、電流とは逆方向に電圧vが発生します。電線の長さ方向への極々微小区間Δxで発生する電圧Δvは、
-Δv=L Δx di/dt
dv/dx=-L di/dt ・・・式1
ただし、Lは電線単位長(1m)あたりのインダクタンス
コンデンサーCに電圧が掛かると、コンデンサーに電流が流れます。コンデンサーCに流れる電流は損失です。電線の長さ方向への極々微小区間ΔxでコンデンサーCに流れる電流Δi、
-Δi=C Δx dv/dt
di/dx=-C dv/dt ・・・式2

式1と式2を連立させて、電線状を流れる電流の波動方程式は
電線状を流れる電流の波動方程式
ここで、C’を光速とすると真空中では、1/LC=C’ C’ なので、電線状を流れる電流は光速に等しいとなります。
( 1/LC=C’ C’ の関係は空気中でも成り立つ)