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電気信号のデジタル化の基礎

携帯電話やテレビなど身近な電気機器がデジタル化されていますが、デジタル化の最大のメリットは、今までコイルやコンデンサーなどでしていた信号処理を計算で出来ることです。
デジタル信号処理 (DSP:Digital Signal Processor)を使えば、容易に音声合成が出来るのでテキストを読み上げたり、雑音の混じった信号から特定の信号だけ取り出すことが出来ます。

先ず、アナログ信号をデジタル化する方法ですが、例えば、電圧が 0~1Vまで変わる信号を2ビットで表すデジタル化を考えてみましょう。
2ビットで表せる状態は、00、01、10、11 の4通りになります。
ですから、  0.0V~0.25Vまで  →00(0)
 0.25V~0.5Vまで  →01(1)
 0.5V~0.75Vまで  →10(2)
 0.75V~1.0Vまで  →11(3)
と対応させれば良いわけです。括弧内は10進法表記
このような機能を持ったアナログ・デジタル変換器は電圧比較器と基準電圧を内蔵させれば出来ます。

上記で作られたデジタル信号をアナログ信号に変換するには、下図のように
デジタルアナログ変換器の原理図
あらかじめ、0V、0.25V、0.5V、0.75Vの電圧が取り出せるように基準電圧を抵抗で分圧して、デジタル信号によってスイッチを切り替えて分圧された電圧を出力さればよいです。

これまでのさ説明はわかりやすくするために2ビットのアナログーデジタル変換でしたが、音声や映像のアナログ・デジタル変換では10ビット以上です。
2ビットでは表現できる状態が4つしかないので、0.1Vでも0.2Vでもデジタル変換すると、0Vになってしまって元の電圧とまったく違ってしまうので、ビット数を増やして表現できる状態を増やす訳です。
10ビットにすると、2の10乗(1024)の状態を表現できます。
入力の最高電圧が1Vなら1mVの違いまで表現できます。
ところが、2ビットなら4つの状態ですから、電圧比較器と基準電圧のペアーが4個要るだけなので容易に作れますが、10ビットになると、これが1024個も必要になって現実的ではありません。
そこで逐次変換方式が採用されています。

これは、1個の電圧比較器で、基準電圧を1段階ずつ上げて行って、基準電圧の値が入力電圧と同じからそれ以上になった時点で、基準電圧の値をデジタル変換した2進データを出力とするものです。
左図のような回路構成になります。
この方式は結果が決まるまでに時間が掛かるので、その間に入力電圧が変わらないように入力電圧を保持する回路が必要になります。
逐次型アナログデジタル変換器の原理図

入力電圧が直流の場合はこれだけでよいのですが、音声や画像の信号は刻々変化するので電圧値だけなく、時間軸に対して電圧の変化を記録しなければ元のアナログ信号を再現できません。
どのくらいの時間間隔でアナログーデジタル変換すれば、デジタルーアナログ変換したときに元と同じ波形が得られるかということです。
標本化定理 または サンプリング定理 と呼ばれるものによって、入力信号の2倍以上の周波数 と言われています。
入力信号にサンプリング周波数の2分の1超える周波数が含まれていると、エイリアス雑音 と呼ばれる雑音が生じるので、入力にはサンプリング周波数の2分の1を超える周波数をカットするフィルタ( アンチエイリアスフィルタ )を入れます。
例えば、音楽の場合は人間が聞こえる最高周波数が20kHzなので44.1kHz、 約0.02ミリ秒ごとにアナログ信号をデジタル信号に変えています。