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あぶり出し

「あぶり出し」を知っていますか?
私が小学生の頃の子供向けの本にはよく載っていた、たぶん冬の遊びです。
「あぶり出し」は季節や時間を問わず出きるのですが、あぶり出し遊びに必要な物が冬は揃っていたのです。
みかん。そしてストーブ。
今では夏場でも“温州みかん”が出回っていますが、みかんは冬の果物の代名詞になるほどです。

あぶり出しは みかんなどの絞り汁を筆や割り箸の先に付けて紙に文字などを書き、それをストーブやコンロで炙ると書いたものが浮き出てくるというものです。
なぜこれがおもしろいかと言うと、忍者やスパイを連想させるからです。
スパイや忍者なんて・・・という人には、例えば、ラブレターをはがきに書いて郵便で送ると、郵便局の人、相手の家の人などに読まれてしまいますが、あぶり出しの技法を巧く使えば、読んで欲しい人 にだけ読んでもらえるという訳です。
実際はみかんの絞り汁では元々色が付いているので注意深く見られると判ってしまうので、乾いたら書いた痕跡が残らないものを探さないとですが。

炙る(熱を加える)ことによって文字が浮き出る理由は幾つか考えられます。

  1. 書くのに使った液体(例えばみかんの絞り汁)が熱によって焦げて色が変わる。
    みかんの場合は含まれている糖が焦げて色が出ます。
  2. 書くのに使った液体(例えば食酢)が熱によって紙の繊維を急激に酸化させる。
    一般的に化学変化は過熱によって促進されます。
    もちろん、液そのものが加熱によって化学変化を起こして色が変わることもありますし、混ぜた状態では無色、化学変化を起こせば色が変わるような複数の薬品を混合した液で文字を書くことも出来ます。

化学薬品を使うのは家庭では難しいですから、果物などの食品の絞り汁、洗剤や医薬品など手に入るものでやってみて、巧くいった液体の成分を調べるとおもしろいです。
製造元が判っている物の場合は、メーカーにEメールか手紙で問い合わせれば教えてくれる場合が多いです。
問い合わせるときは知りたい理由(例えば夏休みの宿題とか)を書いて、失礼の無い文体で書いてください。

注意としては、炙っているときに紙が燃え出すことがあるので、近くに水を入れたバケツなどを用意しておき、紙に火が点いてしまったら直ぐに水の中に入れてください。