原子の構造

物質をどこまでも細かく分解できる魔法の機械があったとします。
この魔法の機械で、物----例えば今、触れていたキーボー----を細かく細かく分解していくと、「原子」に辿り着きます。
原子の大きさは、10のマイナス10乗というイメージできない小ささです。
理解しやすいように喩えてみます。
原子と野球のボールを大きなコピー機に載せて、原子を野球のボールの大きさにまで拡大すると、野球のボールは地球の大きさになってしまいます。
小さな原子ですが、大きさの殆どは電子雲で出来ています。
電子雲というのは電子が含まれている部分で、殆ど質量がありません。
そして、電子雲に濃淡はありますが、雲の何処に電子あるという訳ではありません。

原子の中の電子雲イメージ図

また、電子雲の形は上図のように卵の殻のようになっている原子がある一 方、特異な形をしている原子と量子的に決まった形をしています。

この電子雲の中心に極小さいのに原子の質量の99.9%以上を占めている重い原子核があります。
原子核の大きさは原子全体の大きさより4桁小さくて10のマイナス14乗なので、直径100mの巨大綿菓子(電子雲)の中心部にパチンコ玉が入っている図を想像してみてください。
ところで、電子雲の中に存在す「電子」はマイナスの電気を帯びています。
水素原子の電子雲の中には電子が1個あり、電子1個の電気の量を「-e」で表します。
水素原子は電子1個なので電子雲全体の電気量は-eです。
そして、原子全体としては電気的に中性なので、電子雲が持っているマイナスの電気量にみあったプラス電気を原子核が持っていることになります。
原子力発電に使われるウランの電子は92個、電子雲全体の電気量は-92eなので、ウラン原子核が持っている電気量は+92eとなります。

次に、魔法の機械で原子核を分解してみます
原子核は下図のように、プラス電気を持った陽子と電気的には中性の中性子から出来ています。
原子核の構造イメージ図
陽子の数は電子雲が持っている電気量で決まりますが、中性子の数は同じ物質(元素)でも違います。
例えば、水素の場合は電子雲が持っている電気量が電子1個分の -e なので陽子も1個。
ところが、中性子は0個のもの、1個のもの、2個のものがあります。
中性子が異なるものを「同位体」、水素の場合は「水素の同位体」と呼びます。
自然界に存在する水素の99.98%は中性子の数が0のもので、「軽水素」。
次に多いのが中性子1個のもので「重水素」。
殆どありませんが中性子2個のもので「三重水素」と呼ばれます。

元素記号の表記は次のようにします。
元素記号の表記法の説明図
中性子は陽子と同じ質量があるので中性子の数が多いほど重くなります。
「原子量」と呼ばれるものは原子核の質量を陽子と中性子の数で表したもので、中性子の数が異なる同位体の原子の場合の原子量は、同位体の加重平均して求めます。
加重平均というのは重要な要素とそれ以外の要素に重み(差)をつけて平均を求める方法です。
水素の場合では、全体の99.98%が軽水素なのでこの同位体を重く見て計算する訳です。
一般的には、x、y、zと3種類あった場合には、(ax+by+cz)÷(x+y+z)で求められます。
但し、a,b,cは重みです。