水時計の作り方

水時計 は水の入った器から水を流し、その水の量で時間を計るものです(または、減った水量で計るものです) が、これが難しいのです。
水時計の重要な点は、水が流れ出る量を常に一定にすることなのですが、 浴槽から水を抜くときに水がたくさん入っている始めは早く水位が下がりますが、 浴槽内の水が少なくなるにつれて水位の下がり方が遅くなってしまうので解りますが、水量は一定にならないのです。

水槽を多段にした水時計

水時計は、日本では「漏刻 (ろうこく)」とも呼ばれ、天智天皇(7世紀中)によってつくられたと伝えられています。
天智天皇の水時計は下図の様に水が出る容器を幾つも重ねています。
多段式の水時計のしくみの説明図
この水時計は小さい孔を開けた容器を多段にすることによって、上図で示した容器の水面と水が出る孔の間隔 h1,h2,h3が h1>h2>h3 となるように工夫する事によって、最終的に一定時間に流れ出る水量を一定にしています。

空気圧を利用した水時計

下図の様な容器を作ります。 水の出る量が一定になる理屈は 容器から一定の速度で水が出るマリオットの器
水時計の説明図

容器Aに蓋をして、パイプを通してだけ空気が入るようにしたところが重要です。
容器A,容器Bは工作用に売られている太いアクリルパイプやアクリル板で作れば簡単で見栄えもいいですが、容器Aはペットボトル、細いパイ プは観賞魚を買うときに空気ポンプに接続するビニールパイプなど、色々、試してみてください。
但し、水を出す孔は小さくします。また、時間を目盛る容器は断面積が一定でないと、水の量と高さが比例しないので目盛りが不均一になってしまうので気をつけましょう。
出た水の量で測るなら容器Bに時間目盛りを刻みます。

水槽の形を工夫した水時計

底に小さな孔を開けた下図の様な形の容器の水位を測ると水時計になります。
特殊な形の容器の水時計
一見すると、ただの容器なので浴槽の水を抜くときと同じ様に始めは早く出てだんだんと遅く出るようになる気がしますが、容器の高さyを変数に、容器を真上から見た半径rを、r=αy^1/4 として形作った容器は、水が底に開けた小さな孔から出ることによる水位の低下と時間が比例します。ただし、αは定数です。

下図の様な任意の形の容器を考えてみます。
任意の形をした容器の底から出る水と水位の低下を説明する図
容器の底の小さな孔の開口面積をs、そこから流れ出る水の速度をvとすると、極短い時間dtの間に流れ出る水の量は、svdtとなります.
他方、容器の底からの高さyでの容器を真上から見た面積をS(y)、極短い時間dtの間に下がった水をdyとすると、水位が下がったことによる水量の低下は、S(y)dyとなります.
極短い時間dtの間に流れ出た水の量と容器の水位が下がった水量は同じなので
svdt=S(y)dy ・・・式1
容器に開いた小さな孔から出る水の速度vは、トリチェリの法則から
v=√(2gy) ・・・式2
式1と式2から
s√(2gy)dt=S(y)dy
dt=S(y)dy/(s√(2gy))・・・式3
式3を積分して、t=ky となるS(y)を探すと、容器の高さyを変数として、その高さでの開口半径r=αy^(1/4)となる容器になります。ただし、kとαは定数です。