太陽のエネルギー源由

地球上ではエネルギーの枯渇が心配されているのに太陽は膨大の量のエネルギーを宇宙空間に放出しながら燃え尽きることがありません。
いったい何が燃えているのでしょう?
「燃える」というのはおかしな表現でした。
燃えると言う語は酸素を必要とするので、太陽の場合は酸素とは無関係です。
答えは、太陽は原子の中心部にある「原子核」が持っているエネルギーを放出しているのです。
あらゆる物は原子という非常に小さなもので出来ています。
原子はプラスの電気を帯びた原子核の周りを
マイナスの電気を帯びた電子が回っているという構造になっています。
そして、原子核はプラスの電気を帯びた幾つかの陽子と、電気的に中性な幾つかの中性子が合体して出来ています。
太陽が放出しているエネルギーは、これらの陽子や中性子を原子核とい う塊としている結合エネルギーなのです。

この原子核の持っているエネルギーは、原子量(陽子の数+中性子の数)が60ぐらいのところを最低にして、原子量が60より小さいほどエネルギーは多くなり、 また原子量が60より大きくなるほどエネルギーは多くなる性質があります。
ですから、原子量が60より大きい物質(元素)を原子量の少ない元素に変えることが出来れば結合エネルギーが余って放出されます。
逆に原子量が60より小さい元素を原子量を大きくしても結合エネルギーが余って放出されます。
前者の原子量を減らす方法を「核分裂」と言い、後者の原子量を増やす方法を「核融合」と言います。

「核分裂」からエネルギーを取り出す方法は、原子力発電所として実用化されています。

太陽(恒星も同じですが)は、重水素(原子量2)をヘリウム(原子量4)に変える核融合によってエネルギーを放出しています。
重水素というのは、水素の原子核が陽子1個なのに対して、中性子が1個合体して原子量2のものを言います。
なお、陽子の数が同じで中性子の数が異なるものを「同位体」と呼びます。
重水素は水素の同位体の一つです。
自然界に存在する水素の99.98%は原子量1です。