身近な自然と科学

Webカメラによる月面撮影 デジタル・アイピースの自作方法

天体望遠鏡で覗いたときに見える天体の姿をパソコンに取り込むには、熱雑音発生を極力抑えるために冷却した撮像素子(CCDなど)を使うのがベストですが、高価です。
微光天体を撮るのでなければ、レンズ交換できる一眼レフを専用マウントで接続して、直焦点で撮影するのが手っ取り早いですが。。。.

一眼レフが無ければ、望遠鏡の接眼レンズとカメラの撮影レンズを接近させて、人間が望遠鏡を覗き込むようにカメラに覗きこませて撮影する、コリメート式と言われる方法があります。
正視の方が天体望遠鏡のピンと合わせ、遠方にピントを合わせたカメラを望遠鏡の接眼レンズに近づけて撮影します。
正視でない方が望遠鏡の ピントを合わせるとピンボケになるので、デジカメの液晶画面を見ながら微調整することになります。
カメラ側でピントが確認できないときは手のひらに載るような小望遠鏡を遠方にピントを合わせ、この小望遠鏡を通して天体望遠鏡を覗き込んで、天体望遠鏡のピントを合わせます。

下の画像はカメラを手で支えて撮ったものなので、ちゃんと固定すればもっと綺麗に写ります。
コリメート式で撮った月面写真
コリメート式の合成焦点距離は、カメラの焦点距離と望遠鏡の倍率を掛けたものになります。
カメラレンズの焦点距離が10mmで望遠鏡の倍率が50倍なら合成焦点距離は500mmになります。
月に望遠鏡を向けると、焦点距離の100分の1 程度の直径5mmの月がカメラの撮影素子上に映ります。
5mmは小さいようですが、デジタルカメラの撮像素子面の一辺の大きさは5mmもないので撮影すると画面から溢れるように月面が写ります

リサイクルショップで[Fujitsu USB Camera FCPCAM05]を105円で購入。
この値段なので壊れているか、ドライバー(ソフト)がWeb上に無い可能性が大きいですが、何とか使える類似ソフトをゲットしました。
あとは簡単で、Webカメラのケースを剥いで、接眼レンズのサイズに厚紙を丸めて作った筒の片端にWebカメラの撮像素子面を直角にはめ込んで終わりです。
130万画素か200万画素のWebカメラが新品でも1千円台で買えますから、画素数の大きい新品を手に入れて作った方が楽に高性能なものができます。

下写真は基盤を出したところ、全てが1枚の基板に納められています。
中央の黒く見える部分がカメラで、レンズはねじ込み式になっているので逆にねじって外します。
天体撮影に使うWebカメラのレンズを外した写真
下は接眼レンズと同じ筒径の紙筒にカメラ基盤を固定したところ
接眼レンズの外径と同じサイズの紙筒をWebカメラに付けた写真
下はVIXEN D80mm f = 910mm 屈折につけたところ
Webカメラを天体望遠鏡の接眼部に付けた写真
下はWebカメラで撮影した月面、満月を過ぎたところで立体感に乏しいので縁を撮ってみました。
Webカメラで撮った月の写真
試しに直焦点で木星に向けたところ、明るさは十分なのですが、光軸が合わずに小さな円に写りませんでした。
撮像部を金属のような硬いもので固定し、光軸調整が出来るようにしないと無理のようです。

遠隔操作できる天体望遠鏡に天体撮影用のカメラをつければ室内から天体観測が出来ます。
天体を自動挿入できる望遠鏡はMEADEあたりが比較的安価そうで すが、私の場合はそのまま寝込んでしまって望遠鏡一式雨に濡れていたということになりそうです。