夏休みの二重星の観測 こと座ε星
二重星とは、地球から見て極接近して見る恒星です。
二重星には同じ方向に見えるもの、二つの恒星が引き合って一つの重心の周りを回っているものがあります。
後者は「連星」と言います。
数の多さを表現するときに「星の数ほどある」と言いますから、二重星の多くは単に同じ方向に見えるだけだろうと思いがちですが、殆どの二重星は連星です。
さて、夏休みの自由研究に天体観測をしたくても夏の夜は天候に恵まれないことが多く、また、大気中の水蒸気が多いために暗い星は見難いものです。
街中では夜空が明るくて真上に明るい星が幾つか見えるだけという方もいらっしゃると思います。
こんな方にお勧めなのが、月と五大惑星の観測ですが、恒星では街の灯りに邪魔され難い天頂付近に見える「こと座ε(イプシロン)星」です。
この時 季20時頃に天頂付近に見える明るい星は「こと座のα星ベガ」ですが、ベガから白鳥座方向(北東)へ約1.7度ぐらいのところに「こと座ε星」が見えます。
下写真は、カメラを三脚に固定してセルフタイマーでシャッターを切ったもの
左の明るい星がベガ、下の2本平行に見えるものが上からε1星、ε2星
右上の明るい星がζ星
撮影日時:2012年8月21日20時2分
撮影機材:SIGMA ZOOM 28-200mm 3.8-5.6 UC + Nikon D40
ISO1600、f=200mm 絞り開放 露光30秒間
日周運動によって星が棒状に写っています。
星の明るさは約4.5等なので暗い空かつ視力が良ければ肉眼で見えますが、双眼鏡や口径5cm程度の天体望遠鏡を使えば楽に見えます。
2個の星が接近して見えたものがあれば、これがε星です。
二つの星は角度で約3.5分離れています。
こと座ε星は連星で、それぞれε1、ε2と呼ばれます。
εというのは星座の中で主だった星(一般的には明るい星)からギリシャ文字を当てたものです。
明るい星から、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)、 ε(イプシロン)ですから、5番目に明るい星ということになります。
こと座ε星は約3.5分離れているので視力の良い方なら双眼鏡や望遠鏡を使わなくても一つの星とは違うように見えるかも知れません。
天体望遠鏡を使えるときは、ε星の二つの星ε1、ε2を100倍程度の倍率にして見てください。
それぞれの星がまた2個の星に見えます。
ε1星とε2星のそれぞれが角度で約2秒ほど離れた二重星になっています。
簡単に言うと、肉眼では一つに見える こと座ε星は4個の星で構成されいるのです。
このため、ダブルダブルスターとも呼ばれています。
この他、δ星、ζ星も二重星です。