身近な自然と科学

老爺柿(ローヤガキ)の発芽

老爺柿と書いて何と読むのか? ローヤガキとかロウヤガキと読むようです。
柿と書いても食べる柿では無くて観賞用です。分類上はカキノキ科なので柿には間違いないのですが観賞用というのが食いしん坊の私には残念です。
こんな事を言うと「おまえは盆栽のセンスが無い」と言われるでしょうが、実は柿というより観賞用唐辛子みたいですし、柿のイメージには程遠いです。

老爺柿は雌雄異株ですが、園芸店などの盆栽売り場で見かけるのは実を付けた雌木ばかりでした。
老爺柿は盆栽だけなのか、と思っていましたが、近くの公園に樹高2mほどの木がありました。盆栽仕立てにする木だけあって、普通の柿より弱弱しく感じました。

正月明け、萎び掛けて木に付いていた老爺柿の実から種を取って鉢に蒔いてみました。 柿の種というと、米菓の「柿の種」の、三日月のような平べった形を思い浮かべますが、老爺柿の種は直径3mmぐらいのほぼ球形で実に1つ入っています。
実から指先で種子を揉み出し、実の中で発芽しないように種子に付いている発芽抑制物質を洗い流す意味もあって一晩水に付けてから沈んでいた種子4個を蒔きました。 種子に付いている発芽抑制物質は除かなくても蒔いて置けば自然に流れてしまいますけど。

4月、5月になっても芽が出ません。冬季の乾燥時期に鉢を乾かしてしまったのが原因か・・・
柿や桃、梅の様に種子に水分がある実の中に入っている種子は乾くと発芽率が落ちます。この様な種子を採取後直ぐに蒔くのが手間が掛かりません。
翌年の春に蒔くには、ビニール袋の中に湿った土や砂を入れ、その中に種子を入れて冬越しさせるのですが、種子は生きているので風通しが悪いと酸素不足で死ぬことがあります。
種子を網袋に入れ、ある程度風雨が当たる所に埋めておくのが手間が掛からない保存法です

6月になってようやく老爺柿の種子3個から芽が出て来ました。
老爺柿の発芽
左下には、発芽中に土から浮き、枯れてしまった種子です。
種子4粒を蒔き、発芽3ですから発芽率は良いようです。