身近な自然と科学

自由研究の手引き:雑草が生える環境を調べる

空き地や荒地に生えている雑草を調べる方法

空き地、荒れ地に生える雑草を調べるには、ただやみくもにしても興味のある研究はできませんし、調べる面積が広くなりすぎて大変です。
例えば、下図のような荒れ地を調べる場合。
荒れ地を、1メートル間隔の四角形に区切って考えます。

この荒れ地の場合は、四方がまったく違う環境になっています。
広い土地を調べる時は土地を升目に区切るという図
南側は道路ですから、57から64は、自動車の通行量にもよりますが排気ガスに含まれる有毒物質の影響を受けているかも知れません。広い道路だったら、乾いた空気にさらされているかも知れません。
広い道路で夏だったら40度以上の熱風にさらされているかも知れません。

北側は2階建ての家ですから、1から8は、冬の北風の影響は少なく、日溜まりで暖かいでしょう。夏は風通しが悪くて蒸し暑いでしょう。
西側、 東側についても、南側、北側のように想像を巡らせて下さい。

環境が違えば、当然、そこに生える植物が違います。
ところで、どこも環境が同じだったらどうしますか。
1から64まで植物を調べるわけにもいきません。
こんなときは、調べる場所は天にまかせましょう。
目を閉じて電話帳をめくります。
もし、537ページだったら、57番の場所を詳しく調べるという方法もできます。
難しく言えば、 標本抽出 という作業になります。

空中を浮遊している雑草の種子を調べる方法

庭土、畑土、市販の園芸用の土などを、植木鉢2つ分取り、ビニール袋に入れて電子レンジで熱する。
この時、土が乾いていたら土に水を含ませておきます。
これは土の中に含まれている雑草の種や根から芽が出ないようにするためなので、土全体が熱くて持てないくらいまで熱します。
(黒いビニール袋に入れて戸外で太陽光の直射が当たる所に数日間置いてもよい)

土が冷めたら、きれいに洗った同じ大きさの植木鉢(プラスチック製が良い)2つに分け、一方はビニールでふたをします。
蓋をした方は比較用です。

それから、2つの植木鉢を直射日光の当たらない戸外に置きます。
そして、ふたをしてある植木鉢とふたをしてない植木鉢の生える雑草を比較観察します。

*ふたをし たままの植木鉢は、土に含まれていた種や根が熱で死んでいたら草が生えてこないはずです。
一方、ふたをしていない植木鉢には周囲の空気中に浮かんでいた種が植木鉢の土について発芽したと考えられますね。

*種や根を殺した土を山や海などに遊びに行ったときに空気に触れさせて、密閉して持ち帰り育ててみると、家の周囲に生えている植物とは違うものが発見できるかも知れません。

*プラスチック製の植木鉢が良いというのは、素焼きの植木鉢のように表面に小さなくぼみがたくさんあると水で洗っても雑草の種が残っている可能性があるからです。

*この実験では土中に含まれている種や根を殺した土を使うことが大切です。
「消毒済み」「殺菌済み」と表示されている市販の土でも活きている種や根が含まれていることがあるので注意してください。