食品冷凍保存 野菜は細胞壁の強度によって冷凍保存の可否が決まる
食品には冷凍保存出来るものと出来ないものがあります。
一般的に肉類は冷凍保存が出来ますが、野菜は不向きとされます。
動物の細胞は脂質で作られている細胞膜に包まれているので柔軟性がありますが、植物は細胞膜の外側に細胞壁というセルロースで作られた硬いものがあります。
この硬い細胞壁のお蔭で植物は形を保っていられのですが、冷凍すると細胞内の水分は凍って体積を増しますから柔軟性のない細胞壁は破壊されてしまいます。
細胞壁が破壊されると食感が、細胞内の液体が出てしまうので味覚が変わって不味い食べ物になってしまいます。
では、冷凍保存できないのか、と言うと冷凍できるものも数多くあります。
水分が少なかったり、細胞壁が硬いために冷凍しても細胞壁のダ メージが少ないものはそのまま冷凍保存できますし、調理段階で細胞膜や細胞壁を壊してしまう食べ方をするものは、冷凍する前に細胞膜や細胞壁を壊して冷凍によるダメージを少なくさせればよいのです。
また、急速冷凍すれば氷の粒の大きさが小さくなってダメージが少なくなるので、熱伝導率がよいアルミ製のトレーに広げてなるべく早く冷凍するのがコツです。
- ほうれん草や小松菜、サヤインゲン、サヤエンドウ、アスパラガス、オクラ
- 食塩を一つまみ入れた水で固茹でにしてから冷水に入れて冷やして水気を絞り切り、ほうれん草や小松菜は適当な長さに切り分けてラップで包んで急速冷凍します。
ブロッコリーやカリフラワーなども同様に茹でて冷凍しますが、茹でた後に冷水に即けてしまうと蕾と蕾の間の水が取り切れないので、冷水に浸けずに「ざる」にとって冷ましてから冷凍します。保存期間は2~3週間、半解凍か凍ったままで炒め物などに使います。
さやいんげん や さやえんどうは早く凍るように一塊にしないで一つ一つ離して冷凍します。
2009/06/17のTBSテレビ「はなまるマーケット」で、キャベツや小松菜などの葉物野菜を茹でずに切っただけで冷凍し、解凍は熱湯をかけるだけで済ます方法を紹介していました。
茹でる→冷凍→調理で加熱 すると、野菜の食感が無くなるというのですが、果物を凍らせてシャーベット状にして食べるのが好きな方、湿気た煎餅が好きな方が居るように、食感は好みですから、家庭の冷凍方法は工夫のしがいがある分野だと思います。 - ピーマン類
- 生を千切りにしたものを、アルミ製のトレーにラップを敷いて広げてなるべく早く凍らせ、解凍せずに使います。
- にがうり(ゴーヤ)
- 縦に二つ割にして中心部に入っている種をスプーンなどで綺麗に取り、薄切りにしてから固茹でにし、トレーに広げて早く冷凍します。
解凍せずに使いますが、冷凍保存には向いていません。 - かぼちゃ(南瓜)
- まず、食べるときに適した大きさに切ってから硬めに蒸すか電子レンジで加熱します。
それを凍らせます。
甘煮にしてから冷凍すると、自然解凍で食べられるのでお弁当には凍ったまま入れられます。
お弁当が温まるのを多少でも防げるので食中毒の予防になります。
お弁当にご飯など温かい物を詰めるときは、皿などのとって冷やしてからお弁当箱に詰めます。お弁当箱に入れてから冷ますのは食中毒の原因になります。 - 人参
- 厚さ5mmほどの輪切りにして固茹でにしてから冷水にとって冷まして冷凍します。
大きめに切ると食感が悪くなりますから小さめにきります。
冷凍したままカレーなどの煮込み料理に使います。
甘煮にして冷凍すれば食感が多少ごまかせます。
生のまま千切りにしてトレーに広げて早く冷凍します。
凍ったままサラダに使います。 - 芋類
- ジャガイモはマッシュポテトとの他は不味くなります。
サツマイモはマッシュポテトにするか甘煮にして冷凍します。
サトイモは茹でて冷凍します。
ヤマイモは皮を剥いて酢水にさらしてからすりおろし、小分けにして冷凍します。
ナガイモはすりおろすと水が出るので、千切りにして冷凍します。
芋類は自然解凍します。 - ナス(茄子)
- 焼きナスにしてから冷凍し、自然解凍します
- キュウリ
- 薄 い輪切りにして塩もみにしてから冷凍し、自然解凍します
- キャベツ
- 葉を1枚1枚はがして固茹でしてから冷凍するか、塩もみしてから冷凍します。
自然解凍で使います - 長ネギ類
- 長ねぎや万能ねぎ、博多ねぎなどは小口切りにして小分けし、ラップに包んで生のまま冷凍します。
長ねぎは数センチの長さに切ってから白髪ネギのように縦に切っても冷凍できます。凍ったまま使います