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紫陽花の色変わりの原因はアルミニウムイオン

梅雨の花と言えば紫陽花ですね。
紫陽花の花言葉のひとつに、「移り気」があります。
味際の花に見えるところは萼(がく)ですが、ここでは花とします。
移り気というのは紫陽花の花の色が変わるからでしょうか。
赤紫のアジサイと青いアジサイの写真
一般的に、紫陽花の花は土壌が酸性だと青色に、中性やアルカリ性だと赤色になります。
しかし、紫陽花に含まれている色素は、他の多くの植物にも含まれている アントシアニン の一種であるデルフィジンです。
関連:小麦粉や茄子、黒豆、苺など、多くの植物性色素は酸やアルカリで色が変わる
アントシアニンは、赤紫蘇に多量に含まれ、塩漬けした梅から出る強酸性で赤色が鮮やかになって梅を染めます。

紫陽花の色を決めるのはアルミニウム・イオン

紫陽花に含まれるアントシアニンは土壌が酸性だと青くなるのに。
ここで注意し なければならないのは、生物体中のPH(ペーハー)がころころ変わってよいものかということです。
ずいぶん前、人間の身体を酸性にする食品、アルカリ性にする食品というのが喧伝されましたが、人間の体液は食べる物に関係なく、 いつも一定で PH7.4の弱アルカリ性に保たれています。
事実、 紫陽花の花は、土壌に関係なく弱酸性 です。
実は、 紫陽花の花は、金属のアルミ・イオンとアントシアニン、補助色素によって変わる のです。
土壌中のアルミのイオンが根から吸い上げられてアントシアニンと結合して金属錯体をつくり、補助色素に働いて青色に変化します。
土壌が酸性だと青くなるというのは、アルミは酸性の水溶液でイオン化するからです。
同じ株なのに枝によって微妙に花色が異なるのは、アルミイオンが均等に花に送られないからです。