身近な自然と科学

枸杞(クコ)と枸杞の発芽



2023年8月23日作成
2023年10月7日更新

2月中旬、サイクリングで郊外を廻っていたら道端の枯れ草の中の小さな赤い実が目に留まりました。
その実は、枝分かれしないで、土際から2mぐらい伸びて弓の様にしなってたれさがった枝に付き、長さ15m m程の紡錘形で艶がありました。
道端に生えていたクコの実 2023年2月11日に撮影
この特徴的な枝と実は、枸杞(くこ)です。
写真は、2023年2月11日に撮影。
意外というか、ちょっと驚きました。私は野山を駆け巡ることはありませんが、自転車でしばしば郊外を走っていますが、何十年も見ていなかったのです。ロードバイク乗りの様にスピードを出しても居ないのに。
1970年代に枸杞ブームが起こって自生の枸杞は絶滅した、と書いてある本があったので、目に付かないのを不思議にも思いませんでした。自生が絶滅したとまで言われた理由は、枸杞が健康増進に役立つと広まったからです。

『 株式会社 保育社 木村康一・木村孟淳 著 昭和56年7月1日全改訂新版刊 原色日本薬用植物辞典 』の194ページに
「根の皮部を地骨皮 (じこっぴ, 枸杞皮, Lycii Cortex Radicis) と呼び, 消炎, 解熱, 強壮薬とし、虚労、糖尿, 結核などに用いられる。 また葉を枸杞葉(くこよう Lyci Folium), 果実を枸杞子 (くこし, Lycii Fructus)と呼び, 葉は茶剤として、果実は煎剤または酒に入れて枸杞酒とし,いずれも強壮, 強精薬とする。 根皮に lyciumamide, 葉に rutin, 果実に betaine および数種のカロチノイドが見いだされている。」
とあります。

米と若葉を炊き込んで枸杞飯にしたり、果実は中国料理などで使うことがあるので乾燥したものが売られていることがあります。

枸杞の殖やし方

枸杞は、挿し木で容易に殖やすことが出来ますが、自然界では目立つ赤い実なので鳥に食べられて遠方で子孫を殖やして来たのでしょう。
街路樹に植えられることが多いナナカマドの実も鳥が食べるそうですから、指で簡単に潰せる液果の枸杞の実は食べやすいに違いありません。
下の写真(2023年2月16日撮影)は、採取した枸杞の実と、枸杞の実を手で潰したものです。
クコの実 2023年2月16日撮影
そのしばらく後、陸橋のコンクリートの割れ目から生えている枸杞を見つけた時に、鳥によって種が運ばれて殖えるという自説を確信しました。まあ、誰でも直ぐに思いつく事ですが。

そこで早速、鉢に枸杞の種を蒔いてみました。
一般的に、冬に葉を落とすか枯れる植物の種子は冬の寒い時期を過ごさないと発芽しません。種子が実ったその年に発芽したら直ぐに冬が来てしまうので、2か月ぐらい低温環境で過ごすことが発芽のスイッチになります。
枸杞も冬には葉が枯れるので翌春蒔きますが、枸杞や蜜柑の様に種子が乾いていないものは乾かしてしまうと発芽率が低下してしまいます。そこで、湿った土などに埋めて保存して置くのですが、採取して直ぐに蒔いてしまう方が簡単です。
今回、私が採取した種子は乾いていない実のまま冬を過ごしたので蒔いたので、2か月後には丈が3cmほどまで成長しました。
9発芽したクコ 2023年4月16日撮影
2023年4月16日撮影。
蒔いてから半年後2023年8月23日には鉢土面から50cmほど伸びました。
蒔いてから半年後のクコ 2023年8月23日撮影
肥料分が無い土に蒔いて、その後も肥料はまったくやらなかったので、これだけ成長したのが、ちょっと意外でした。
枸杞は、ナス科で、夏に1cmほどの五弁の紫の花を付けるので観賞価値はありますが、庭植えで放置すると大きくなるので要注意です。

挿し木の枸杞は花をつけるのが早い

枸杞の種を採取したときに枸杞の枝を挿し木にしたのですが、挿した年の秋に花を付けました。
挿し木した年に咲いた枸杞の花
2023年10月7日撮影
枸杞は草の様に見えますが、れっきとした低木です。
挿し木は実生より早く咲くのが一般的ですが、挿した年に花を付けたのは低木だからでしょうか。日本では冬季に枯れてしまうので草扱いでも暖かい国では木というのがありますから、草と間違えてしまう様な木は花を付けるのが早いのかも知れません。
実生の方は花を付ける様子はありません。