身近な自然と科学

花などの色素を分離する簡単な方法

私が中学生の頃、夏休みの研究として植物の色素を分離するために使った“ペーパー・クロマトグラフィー”について書いてみました。

クロマト(chroma)はギリシャ語で“色”、グラフィー(graphos)は“記録”を意味します。
この方法を一口で説明すると分析したい物を動く溶媒の中に置き、溶媒に熔ける、或いは溶媒に流される成分は溶媒と共に流れ、熔け難い成分は残るという性質を利用したものです。
鉄粒、プラスチック粒、紙の粒が入り混じっているものから、鉄、プラスチック、紙を分離するときはどうするか?と考えます。磁石が有れば鉄だけは分離できますが、プラスチックと紙は分離できません。
そこで、稼働中の送風機の前で、この入り混じった物を上から落としてみます。 すると、鉄粒は重いので風に飛ばされずに真下に落ちます、プラスチック粒は軽いの遠くに飛ばされて落ちます、紙粒はもっと軽いのでプラスチック粒より遠くに飛ばされ落ちます。
分離したい色素が鉄粒などが混ざったもの、送風機から出る風が毛細管現象で紙の上に上がる溶媒です。
溶媒に水を使う場合は、ろ紙や吸い取り紙のように吸湿性のある紙を用意するだけなので家庭で簡単に出来ます。
湯飲み茶わんや深皿などに水を入れ、短冊形に切った吸い取り紙の端の方に分析したい色素を付けて吸い取り紙などの一端を水に浸けて置くだけです。
水が色素の所まで毛細管現象で上がって来ると色素の分離が始まって下画像の右の様になります。
溶媒に水を使ったペーパー・クロマトグラフィーによる色素分離の方法の画像
私が中学生の時は上画像の様に小さな容器に水を入れたのですが、吸い取り紙を支える支柱が必要なので家庭で実験するなら、 下画像の様に百円ショップで購入できる広口瓶の水を入れて吸い取り紙を吊るした方が簡単です。
広口瓶を使ったペーパー・クロマトグラフィーによる色素分離の方法の画像
分析したい物が水溶性(水に熔ける)色素の場合は水でよいですが、油性の場合は25%程度のアルコールを使ってください。
植物の色素の場合は水性と油性の色素が混じっているので両方で試してみるかアルコールを使ってください。色素が分離できない場合は濃いアルコール液を使う、溶媒を替えてみる、この方法では分離できない色素等を考えてみてください。
ただし、アルコールを使う場合は火気に気をつけてください