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シャンプーとリンスの違い、主成分は界面活性剤

このページの内容
  • シャンプーとリンスの主成分は界面活性剤
    • 水と油の親和性について
  • シャンプーとリンスの界面活性剤の違い
    • 髪のタンパク質に含まれる酸素原子の負の電気を利用する

シャンプーとリンスの主成分は界面活性剤

シャンプー
汚れを落とすシャンプーは衣料用や台所用洗剤と同じ仕組みで汚れを落とします。 すなわち、一方は脂(油)と仲がよく、他方は水と仲がよい物質を脂汚れと混ぜます。 このような物質を 界面活性剤 と呼びます。
すると、界面活性剤の脂の仲のよい部分が脂汚れにくっつきますが、 界面活性剤の他方は水と仲がよいので、脂汚れと水が界面活性剤を仲立ちにして綱引き状態になります。
脂汚れと髪の結びつきより界面活性剤と水の結びつきの方が強ければ、脂汚れは髪から引き離されます。
仲がよいことを「親和性がある」と言いますが、親和性の強弱は二つの物質の性質によります。
原子レベルでの構造が似ているから親和性が強いということもありますし、 一方の物質がプラスの電気を帯び、もう一方がマイナスの電気を帯びているので電気的に引き合って親和性が強いということもあります。
洗剤の界面活性剤の場合は脂汚れに付く部分は脂と同じ構造を持っていて、脂汚れに付きます。
他方はマイナスの電気を帯びていて、水分子のプラスの電気を帯びている部分と電気的に結合します。
水素原子2個と酸素原子1個で作られている水分子は、 プラスの電気を帯びている部分とマイナスの電気を帯びている部分が分かれているのが特徴です。
リンス
リンスの目的は髪の保護ですから、髪が擦れてささくれたりしないことと保湿です。 これに適した物と言えば、椿油です。油で髪の表面をコーティングします。
ここで、シャンプーの話を思い出してください。
シャンプーの界面活性剤の一方は脂と構造が似ていて脂汚れに付き、他方は水と親和性がありますから、水を含んでいたい髪の方に水と仲のよい面を向け、髪の外側に脂と似た性質の面を向けるものがあれば、髪の内側は水気が保たれ、外側は脂ですからすべすべ状態になります。
シャンプーと反対になります。
この性質を持つものがリンスで、リンスの主成分もシャンプーと同じで界面活性剤です。

シャンプーとリンスの界面活性剤の違い

こう説明すると、シャンプーは脂と仲のよい方が髪の汚れに付いて、 リンスは水と仲のよい方が都合よく髪に付くのか、という疑問を持つ人がいらっしゃると思います。
リンスを都合よく付けるためには、
  1. 髪に脂が残っていないこと
  2. 水と親和性がある部分が水より髪の方と仲がよいこと
髪はご存知のようにタンパク質で作られていますが、 タンパク質はアミノ酸が結合(ペプチド結合)したものですが、結合中の酸素原子が持っている電気が強いために髪は僅かにマイナスの電気を帯びています。
そこで、リンスに使われる界面活性剤の水と仲がよい部分はプラスの電気を帯びているものを使います。
下図の界面活性剤と書いてある部分は、界面活性剤分子です。
シャンプーとリンスに含まれている界面活性剤の違いを表す図
このように、シャンプーとリンスは互いに逆の性質を持つ界面活性剤です。

髪の手入れという点では、髪に脂が残っていたらリンスが機能しないというのは困ったものだと思います。
汚れた脂は洗い落とすのが当然ですが、そうでなかったら自然の保護成分を完全に洗い落として人工のものを付けるのは不自然です。
シャンプーとリンスの繰り返しを毎日するより、脂汚れは油で落とすというように、偶には椿油を付けて梳くのも髪にはよいのかも知れません