漂白剤で汚れが分解されるしくみ
家庭で使われている 漂白剤には、塩素系と酸素系があります。
塩素系は液体で、酸素系は粉末です。この二つは名前こそ違っていますが、どちらも、 酸素の酸化分解作用 を利用しています。
塩素系は、次亜塩素酸ナトリウムが分解して塩化ナトリウムと酸素を発生します。
NaClO → NaCl + O
酸素系は、ベルオクソ炭酸ナトリウムが分解して炭酸ナトリウムと二酸化炭素と酸素を発生します。
Na2C2O6 → Na2CO3 + CO2 + O
ただし、 酸素系は塩素系より反応が穏やか です。
そのため、塩素系は まな板や布巾など汚れが酷い物に使用し、酸素系は衣類に使われることが多いようです。
注意し なければならないのは、次亜塩素酸ナトリウムはトイレ用洗剤に多い酸性洗浄剤と混ぜると、猛毒な塩素を発生し、最悪、死に至ります。
また、 塩素系漂白剤は容器を密封しておかないと空気中の二酸化炭素(酸性)と反応して塩素を発生します。
この場合、塩素は徐々に発生するので塩素臭を感じる程度ですが、漂白剤として使えなくなります。
髪が流れやすい浴室の排水パイプを洗浄する「髪を溶かす」と謳っているものは次亜塩素酸ナトリウムが強アルカリ性なのを利用しています。
髪の成分である タンパク質はアルカリ性の物質でアミノ酸に分解されます。
塩素系漂白剤が指に触れると、指がヌルヌルするのは皮膚が溶かされたからです。
ですから、塩素系漂白剤は動物系繊維(ウールやシルク)には使えませんし、植物系繊維(木綿)でも長時間浸ければ繊維が傷みます。
塩素系漂白剤は細胞質を破壊するので カビ取り にも使えますが、壁やタイルの目地に生えたカビは、菌糸を壁や目地の奥まで伸ばしているので再び増殖して現れること多いようです