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乾燥剤・シリカゲルの使い方

このページの内容
  • シリカゲルとは
    • A型シリカゲルとB型シリカゲルの違いと用途
  • 温風を当てない靴の乾かし方

リサイクルショップで「靴型リピート除湿機」を買ってきました。
靴の中に入れて靴の湿気を取ろうというもので、靴の中が湿っぽいと足の臭いがよけい気になるのでこの製品に食指が動いたのです。
しかし、通販サイトのレビューはよくありませんでした。
靴型リピート除湿機という市販品の写真
この除湿機は孔がたくさん開けられた靴型の中に「B型シリカゲル」と小さな電熱器が入っています。
電熱器は湿気を吸ったシリカゲルを温めて吸った水分を放出させるものです。

シリカゲルとは

シリカゲルはケイ素を主成分に人工的に作られたもので、炭の様に多孔質になっています。
孔がたくさん有れば空気と接する面積が広くなるので、表面積の何倍もの吸水が出来ます。
多孔質な炭もシリカゲルの様に湿気や臭い取りに使われるのは周知の通りです。
ところで、シリカゲルにはA型とB型があります。

重要
A型シリカゲル
湿度が低い環境から吸湿作用がありますが、再使用するためにはガス火や電子レンジなどで150度以上に過熱して水分を放出させなければなりません。 このため、A型シリカゲルは使い捨てが多いです
湿度が低くても吸湿作用がある性質を利用して、A型シリカゲルは医薬品や菓子などを乾燥状態に保つ目的で一緒に入れられています。
B型シリカゲル
B型シリカゲルは湿度が約60%以上で吸湿作用が大きくなり、周囲の湿度が低くなると常温でも水分を放出します。
この様な性質のためにB型シリカゲルが十分にある閉鎖空間では、湿度が約60%で平衡状態になります。
実際の使用環境では外部空気との交流があるので湿度が60%より下がることも上がることもある訳ですが、 外部から熱を加えなくても周囲が乾燥すれば放湿して、次の吸湿に備えられるので60%ぐらい乾燥していれば充分な所では便利に使われています。
たとえば、床下に入れれば床下が高湿になるのを防げます(床下に炭を入れるのと同じです)

シリカゲルの性質を知ると、靴型リピート除湿機の不評が理解できます。
この除湿機に入っているB型シリカゲルが一般的なB型シリカゲルの性質を持っていると仮定すると、 湿気た靴の中にこの除湿機を入れても靴の中の湿度は60%より下がらないのです。
靴の中の湿度が60%では靴の内面の湿気が取れるにはかなりの時間が掛かり、 また、60%の湿気が残る内面を乾燥したと認めるかどうかです。
しかも、梅雨期や雨の日では周囲の湿度が高いので靴の内面の湿気まで除湿できるとは思えません。

温風を当てない靴の乾かし方

湿度が高いときでも風を当てれば大概の物は乾くので、温風式の靴乾燥機が無い場合、或いは靴に温風を当てたくない場合は、 靴の中に髪を乾かすドライヤーの噴出し口を突っ込んで冷風を送るのが早いです。
湿度の高い日でも風を当てることで乾くのは、湿った面近傍の湿度の高い空気が風によって少しは湿度の低い空気と入れ替わり続けるためです。
蛇足ですが、零下何十度という極寒かつ曇っていても洗濯物は乾きます。
空気が含むことが出来る水蒸気が極端に少ないので、洗濯物の水分が凍ります。
その氷を落とすか自然に落ちるかして洗濯物から水分が無くなっていきます。

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