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パルス充電器レビュー JPADC-80で鉛バッテリーを再生させた


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再生した鉛バッテリー

月に数回しか乗らないミライースのバッテリーの内部抵抗を半年ぶりに測ってみました。
前に測ったときは6mΩで、エンジンは一発で起動するので10mΩぐらいにはなっているだろうとは思っていたのですが、何と21mΩ、CCA(Cold Cranking Ampere)は新品の半分以下で危険マークでした。車屋に持って行けばバッテリー交換です。
自作したパルス充電器を使ってみようかとも思ったのですが、
自動車バッテリー用パルス充電器を自作してみた
アマゾンのタイムセールで「3段自動スマート充電器 JPADC-80」というのが2980円だったので買ってみました。
販売ページには自然放電分を微弱電流で充電して補う“トリクル充電”が出来るような事が書いてありましたが、製品の説明書には充電が終了したら充電器を外せとだけあり、製品の操作ボタンや表示にもトリクル充電はありませんでした。 トリクル充電機能には期待していたので正直ガッカリしました。 トリクル充電機能といっても大した仕組みでは無く、13.3V~13.6V程度の定電圧充電器機能、定電圧電と同じですが。 実際に現物を見られないというのが通販のデメリットですが、3千円程度でパルス充電機能が付いているものはホームセンターを探しても無いので気を取り直して問題のバッテリーに接続しました。
が、ふと、バッテリーの電解液が不足しているかも?と気になってバッテリーの側面を見ても液面が判りません。
で、バッテリーを外そうと思ったのですが、バッテリーを上から抑えている治具のネジがまったく回りません。
諦めて、バッテリー上面にある補充液注入口を開けて覗き込むと、下限レベルの下に液面がありました。充電ばかりに気を取られて電解液の不足にまで注意が行かなかったのは教訓です。補充液を足しても内部抵抗は下がりませんでしたが

午後5時に“リペアーモード(パルス充電)”で充電を再開して1時間後に内部抵抗を測ってみると若干下がって19mΩでした。
気を良くして、そのまま翌朝9時までリペアーモードでパルス充電をしました。
下写真の充電器に表示されている“PUL”は、PULSE REPAIRの略です。
3段自動スマート充電器 JPADC-80で充電中の写真
内部抵抗を測ってみると7mΩ、CCAを360にセットして100%良好を示しました。
私が持っている測定器はCCAが表示されないので、CCAを500にセットしてみると、90%良好でした。
単純に計算すればCCAは450まで回復したようです。
充電終了から時間が経つと悪化したのでは話にならないので1日置いて測ってみましたが、内部抵抗が若干ですが改善されていました。

完全に劣化してしまった鉛バッテリーは全く復活しない

1時間ぐらい充電しても解放電圧が10V台に下がってしまう鉛バッテリーを修復モード(パルス充電)してみましたが、鉛バッテリーが温まるだけで全く復活しませんでした。自作のパルス充電器でも復活しないので、この充電器の不具合ではないです。
消費電力が60Wも掛かるのでちょっと充電してみて回復の兆しがない物は長時間やらない方が得です。劣化しすぎた鉛バッテリーを通常の充電モードで充電すると100W以上消費して、 水素を大量発生させ、バッテリーを熱くするだけで終わります



すると、下写真の様に良くなって6mΩでした、少なくとも悪化はしていないようで安心しました。
JPADC-80で充電完了後1日経っての計測写真

JPADC-80のリペアーモードでの充電中のパルスをオシロスコープで計ってみました。
JPADC-80のリペアーモードの充電中のパルス波形の図
このオシロスコープの図では縦1目盛りが20Vなので正負に先頭値が80Vぐらいパルスが出ていることになります。
単純な周期パルスでは無く、いろいろな周期のパルスが混じっているのでしょうか?

使わずにダメにしてしまった別の自動車用鉛バッテリー40B(内部抵抗20mΩ)をリペアーモードで6時間充電してみましたが、内部抵抗が1mΩ減っただけで回復しませんでした。
サルフェーション(硫酸鉛の結晶化)が固定されてしまうと家庭用の充電器パルスぐらいでは溶けないようです。