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鉛バッテリー サルフェーション除去装置 RVBL-1001 & のびー太は?

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サルフェーションとは何か

入手してから3年半ぶりに「サルフェーション除去装置RVBL-1001」をお倉から出してみました。
このRVBL-1001は、Remix QIC-10 や サンダーUPⅡ、のびー太(エルマシステムの鉛バッテリー延命装置)と同じように自動車が主に走行中に効果を発揮するといわれているものです。
“何の効果?”と疑問に思われた方に簡単に説明しますと、自動車などに使われている鉛蓄電池(鉛バッテリー)は、放電時(電流を取り出している時)にマイナスの極版に硫酸鉛が付着します。
硫酸鉛は鉛蓄電池の電解液である希硫酸にはほとんど溶けず、電流を通さないので有効な極版の面積が減少して鉛蓄電池の容量が減少し、 また、電解液の硫酸濃度が低下するので電池としての機能が大幅に減少してしまいます。
硫酸鉛が極版に付かないようにするには、放電したら直ぐに充電して硫酸鉛を少しでも鉛と硫酸に戻すことですが、現在の自動車はキーもリモコンで解除、時計、防犯システムなどで電力を常時消費している上に 鉛蓄電池は自然放電(何も接続しなくて放電する現象)が大きいので硫酸鉛が蓄積してしまいます。
電極版の破損していなければ、硫酸鉛の極版への付着:サルフェーションが鉛バッテリーの寿命を決めます

サルフェーション除去装置RVBL-1001は機能しているのか?

倒産品だというサルフェーション除去装置RVBL-1001を入手したのは2021年2月でした。
RVBL-1001はRemix QIC-10 や サンダーUPⅡ、のびー太(エルマシステムの鉛バッテリー延命装置)など同じで走行中の自動車で機能するものです。

入手した当時は以下の様に書きました。
サルフェーション除去装置RVBL-1001
プラスチックの筐体から出ている赤いコードをバッテリー端子のプラスに、青いコードをマイナスに接続します。
説明書によれば、エンジン始動中のバッテリー充電中がサルフェーション除去効果最大(青LEDが2秒毎に点滅)、 非充電中はサルフェーション抑制(青LEDが5秒毎に点滅)、電圧が低下すると停止(LED消灯)になります。
実験用のバッテリーにRVBL-1001を接続し、バッテリー電極間に定電圧電源を接続しました。
RVBL-1001、バッテリー、定電圧電源を並列に接続することになります。
RVBL-1001の動作状態を示すLEDが2秒毎に点滅し始めたので、ホッとしたの束の間、オシロスコープを当ててみてもパルスが確認できません。
バッテリーとの接続を外し、定電圧電源とRVBL-1001だけにしてオシロを当ててみると、パルスが確認できました。
サルフェーション除去装置RVBL-1001のバッテリー未接続時出力波形
尖頭値が基準電圧より15Vぐらい高いパルスが出ているのですが、、、
自作したパルス充電器を逆接続してスイッチング用MOS-FETを壊した時にもバッテリーを接続すると波形が出ずに、バッテリーを外すと波形が出ました。不良品を買ってしまったのか?
とりあえず、接続を戻してバッテリーが回復する兆しが見られるか実験中
サルフェーション除去装置RVBL-1001実験
2月22日内部抵抗が34mΩ台まで下がっていますが、季節外れの陽気で室温が高かったためです。しかし、容量は変わりませんでした。
4月29日内部抵抗が33.57mΩまで下がっていますが、室温が上がったためでしょう。

日時 容量 内部抵抗 表面温度 開放電圧
2021/02/08 13:07 30% 39.70 9.3 13.77
2021/02/18 17:07 40% 36.92 8.7 13.69
2021/02/25 18:05 40% 36.36 10.5 13.70
2021/03/18 17:16 40% 35.25 13.6 13.67
2021/04/29 18:07 40% 33.57 17.2 13.59

12日にオシロスコープを当ててみましたが、バッテリーを繋ぐとパルスは全く計測されません。私が購入したRVBL-1001は壊れているようです。
と、思いながらも13日に計測をしてみると、今まで何度測っても尖頭値1mVのパルスも確認出来なかったのに、基準13.7Vの上に尖頭値2V弱と1V弱の2つのパルスが出てきました。
サルフェーション除去装置RVBL-1001のバッテリー接続時出力波形
はんだ付けが浮いているとかで接触不良個所があるのでしょうか・・・

RVBL-1001は取り扱い注意品

2024年9月13日、お蔵入りしていたRVBL-1001は弄っていて、この製品のおそろしい仕組みに気づいてしまいました。
入手した当時、オシロスコープを当ててパルスが出たり出なかったりするのは接触不良と思い込んでいましたが、 取り付けるときにバッテリが正常電圧を出していないければ接続後に充電してバッテリーの電圧が上がって状態を示すインディケーターが緑色の点滅を繰り返していてもパルスは出ません。
更に、パルスが出ている状態からインディケーターが緑色の点滅しない電圧に低下した場合はその後に電圧が復帰してもパルスは出ません。
要するに、常に正常電圧以上を保っている鉛バッテリーで無ければパルスは出ずに待機電力を消費するだけなので、付けている方がサルフェーションが進みます
その上、劣化しているバッテリーに接続するとバッテリーの電極端子間ではパルスが観測できません。
パルスの電力が微弱でバッテリーに吸収されてしまったのか? それとも負荷(バッテリー)が低インピーダンスではパルス発生回路が止まってしまうのか?
私が自作したパルス充電器は、ポケットに入る小さなAMラジオにパルス性雑音を派手に与えますが、RVBL-1001は雑音が少ないのでパルスの電力が小さいです
関連 自動車バッテリー用パルス充電器を自作してみた
下図は、バッテリーを繋がずに安定化電源を接続してオシロスコープで測定した出力波形です
RVBL-1001 無負荷時の出力オシロスコープ図

エルマシステムの鉛バッテリー延命装置「のびー太」は?

このページを書き直すにあたって、調べていたら沖縄に在る「株式会社エルマの鉛バッテリー延命装置の特許」を見つけました。
で、エルマで検索をかけると鉛バッテリー延命装置「のびー太」がヒットしました。
エルマの特許出願によれば、1μ秒幅の微弱なパルスを流して極版を傷めることなく硫酸鉛の表層を溶解し、 同時に充電することによって硫酸鉛に戻るのを防いで電解液(希硫酸)の比重も戻るとか。 幅の短いパルス波はフーリエ変換すると高い周波数を含んでいることが判りますが、高い周波数の電流は表層を流れます。それで、硫酸鉛の表層から溶かして行くと理屈です。
微弱なパルスを使う理由は、大きな電流ではジュール熱で電極板が変形破損するリスクがあるからだそうです。

アマゾンの鉛バッテリー延命装置「のびー太」の口コミを読むと、自動車をよく使う方は高評価で、あまり使わない人は期待外れが多いようです
バッテリの電極端子間電圧が高い走行中にサルフェーション除去のためのパルス電流を流すの仕組みですから当然ですね。
「のびー太」に限りませんが、バッテリーから電気を撮って作動する型の延命装置を使っていて、鉛バッテリーの劣化が進んでいるような気がしたら、インディケーターの点灯だけでなくて、ラジオを近づけて雑音が入るかどうか(パルスが出ているかどうか)確認した方がよいです。
先に書いたRVBL-1001の様に低電圧でパルスが停まってしまうことがあるかも知れませんから