真空管とは,二極真空管のしくみ
現在では殆ど見ることが無くなった「真空管」ですが、真空管アンプは音が良いそうで、オーディオマニアの間では真空管がもてはやされています。
実は、私もオーディオマニアでは無いのですが真空管が欲しい1人です。この理由はその内、
真空管は、エジソンの電球に始まります。
エジソンが電球を研究中に、電球の中にフィラメント(光を出す部分)の他にもうひとつの電極(電気が通じる金属)を入れ、 電極に正の電圧を加えるとフィラメントと電極の間に電流が流れるが、負の電圧を加えると電流が流れないことを発見し、この現象をフレミングが「2極真空管」として実用化したのです。
発見発明の経緯で解るように、真空管の最も簡単な構造は、真空にした容器に熱を出す電極(フィラメント)と、これを囲むようにもうひとつの電極を入れたものです。
- 金属を熱すると電子が出る(外部から与えられるエネルギーによって物質内の自由電子が過剰のエネルギーをもらうために外に飛び出します。 自由電子は比較的少しのエネルギーで原子から飛び出せる電子で、これが多い物質は電気を通します)
- 電子は負電荷を帯びている(マイナスの電気を持っている)
- 同じ符号の電荷同士は反発し合い、異符号の電荷は引き合う
ということを憶えておいてください。
フィラメントは電気を熱に変える電熱線で、簡単なものはフィラメントが陰極をかねています(左側上)。
陰極とフィラメントを別々に儲けた型(左側下)は、フィラメント熱する電気と陰極に加える電気が別々なので、フィラメントを熱する電気に交流が使える利点があります。
電子回路図では上図左側の下です。
(なお、真空管はフィラメントと、それを熱するための電源と接続されているのが普通なので、電子回路図ではフィラメントとその接続回路を省くことがあります)
二極真空管の動作原理
2極真空管の原理を示すために上図中央のように電子回路を組みました。
フィラメントは電池に接続されて過熱され、フィラメントによって陰極が熱せられています。
陰極の金属が熱せられると電子が飛び出します。
このとき、中央図のように陽極に陰極に対して正の電圧がかかっていると、電子は陽極の正電荷に引き付けられて陽極に飛び込みます。
瞬間的には正電荷と電子の負電荷が中和(合体)して終りですが、主電池によって陽極には正の電荷が供給され続け、陰極には主電池によって負の電荷(電子)が供給され続けるので、 電子は、主電池のマイナス側から真空管の陰極→真空管内→真空管の陽極→主電池のプラス側と流れることになります。
次に右側の図の様に主電池のプラスマイナスの向きを変えてみます。
すると、真空管の陰極が加熱されて電子が飛び出そうとしても陰極にプラスの電圧がかかっていて正電荷があるために陰極内で中和して電子は消滅してしまいます。 運良く陰極を飛び出した電子も陽極が電子と同じマイナス(負電荷がある)なのでは陽極から跳ね返されてしまい、真空管の陰極と陽極の間は絶縁状態になります。
中央図のようにプレートに正電圧をかけて電流が流れる回路では、 プレート電圧を上げて行くとある段階まではプレート電流はプレート電圧の2分の3乗に比例して増加します。下の図のA区間です。
ところが、プレート電圧を上げていくと、ある電圧から電流が増加しなくなります(B区間)。
これは陰極の材質・形状・陰極の温度によって、陰極から放出される電子の量が制限されからです。
プレート電流とプレート電圧の関係の求め方は難しくなるので省きます(木を見て森を見ずになってしまいますから)
2極真空管の一番大事な性質(陽極にプラス電圧がかかったときに電流が通じる)は、交流の整流(検波)に使えます。
整流というのは時間に対して電流の向きが変わる交流を電流の向きが一定の直流に変換することで、検波というのは電圧の強弱がある交流からその強弱を抽出することを言います。
下図は交流の整流原理です。
赤破線部分は陽極にマイナス電圧が掛かっていてプレート電流は流れません。この時間は電流ゼロです。