身近な自然と科学

超簡単、超安上がりのディスコーンアンテナの試作

いつ買ったのか忘れるほど昔買った、広帯域受信機(マルハマRT-618)が、まだ正常に機能していたので外部アンテナをつけようと思い立ちました。
と言っても無線家かならぬ無銭家なので、市販のアンテナを購入することが出来ません。

そこで自作ということになったのですが、やはり無銭家、雨傘(日傘)を少し開いたときの形状がディスコーン・アンテナそっくりです。 口の悪い人は、ディスコーンアンテナのことを破れ傘アンテナというくらいです。
早速、100円のビニール傘でディスコーンアンテナの製作に取り掛かりました。
下図のAの部分(傘の長い骨)はアンテナの下部(コーン)になります。
Bの部分は傘を開いたときに長い骨を支える骨ですが、ここはアンテナの上部(ディスク)になります。

図のCのところ (二つの骨が繋いである部分のBの骨側)で骨を切断します。
柄は傘の先から30cmぐらいのところDで切断します。私は短く切りすぎたので、アンテナを設置するときにアンテナを支えるところが無くなって失敗しました。
切断したら、傘がオチョコ(反対返し)になるようにしてみます。

パイプで作ったディスコーンアンテナの下部らしく見えてきました。

次に長い骨を適当な角度にし、柄に骨を止めている部分で骨の間を針金をくぐらせるようにして骨を固定します。
同時に、銅線を骨の間をくぐらせて1周させ、銅線と骨を半田で電気的に結合します。

全ての骨を柄の近くで電気的に結合させる訳です。
銅線には半田が直ぐにのるのですが、傘の骨には半田がのりづらいので、 ホームセンターなどで売られているフラックス(金属表面の酸化膜などを除くための酸性の液体・希釈した塩酸)を塗って根気よくやってください。 この作業が重要です

次は、アンテナの上部の製作です。
ここは、傘を開いたときに長い骨を支えている短い骨をそのまま使います。

柄の部分で放射状に付けられているので、水平に放射状に並べて、柄の部分で骨の間に針金をくぐらせて固定し、 同時に銅線も1周させて、全ての骨が電気的に結合するように半田で付けます。

傘の柄のパイプに入る太さの同軸ケーブルの外皮を左図のように剥きます。

ディスコーンアンテナの給電点インピーダンスは約50オームなのですが、受信用なのでミスマッチングは気にせずに75オーム同軸ケーブを使いました。
外皮を剥いた同軸ケーブルを、ディスコーンアンテナの下部になる部分を柄の下から上方に出します。
そして、同軸ケーブルの外皮網線を骨の元に半田付けします。

同軸ケーブルとの接合部をシリコンなどで固めれば完全ですが、アンテナのエレメントにした傘の骨が直に錆びて使い物にならなくなるでしょうからテープで覆っただけにしました。
シリコンで固めるのは、ステンレスかアルミ棒でエレメントを作ったときにします。

傘で作ったディスコーンアンテナ
完成したディスコーンアンテナを設置したところ。
使用できる周波数の下限は200Mhzぐらいになりました。
VHF帯の航空無線が聴けるようにしたかったのですが、傘が小さすぎました。
40kmほど離れた所にある管制局の飛行機向けのVHFが明瞭に聞こえましたが、 小さい傘だったので300から400MHz帯の業務無線やアマチュア無線受信用というところでしょうか
剥き出しでは錆びるので、百円ショップで売られている塗料でも塗っておくと飽きるまでは使えます
傘の骨で作ったエレメントの間を金属製の網で覆いついでに大きくすればVHF航空まで使えるかな?
網の目の大きさは4分の1波長より細かければよいのですが、風圧も大きくなるのでプラスチックの棒などで補強する必要も出てきます。 それなら、傘を使わずにステンレスやアルミ棒を使って作った方が、と言われますね