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特定小電力トランシーバー MTS-100 DX試用レポート

国産品では最も安価だと思われる特定小電力トランシーバー マルハマ MTS-100 DX を入手したのでちょっと遊んでみました。

通信距離云々の前に変調が浅く、同じマルハマの広帯域 レシーバー RT-618では聞き取り難かったです。
アマチュア無線や業務無線は明瞭に聞こえるので送信側に問題があるようです。
MTS-100 DX同士ではそれほど不明瞭では無いのですが、変調が浅いのが先ず気になりました。
それと、PTT(送信時に押す)を入れてボタン5つでチャンネルや スケルチ、その他の設定を変更するのが憶えづらいです。
肝心の通話距離ですが、2階のベランダから2mくらい奥の室内からでは、木造2階建ての多い住宅街で300mぐらいは明瞭に通じま したが、確実に通じるのは250mぐらいです。
2階屋の屋上と、高層建築物が少ない市中心部を通過し、1.2kmほど離れたJR線上の陸橋では聞きなれた声なら雑音混じりで判る程度でした。
同じ屋上から畑が多い方向では高所でなくても1kmぐらいは通じました。
これだけ離れたときの通話品質は「無線ごっこ」レベルに落ちてしまいますが。

特定小電力トランシーバーの通信距離の短さにがっかりしてか、アンテナに針金を巻きつけたら距離が延びるのでは? という質問が時折あります。
AMや短波ラジオではラジオに付属しているロッドアンテナに長い銅線の一端を巻きつければ受信感度がアップすることが多いのですが、無線通信機の場合は、電波として飛ばす高周波電流を作る回路の出力インピーダンスとアンテナの入力インピーダンスを同じにして高周波電流を効率よくアンテナに送るというのが非常に重要になるので話は簡単ではありません。(インピーダンスは交流における抵抗です)
でも、戯れにやってみました。
電波法上、他人に勧められる実験では無いので写真も小さいです(笑)

見た目は全長38cmあまりの針金を巻きつけてただけです。
通信距離は変わりませんでしたが、不思議な事に、垂直偏波が水平偏波に変わっていました。

電波の偏波面は、電界と磁界が交互に発生して伝わる電波の電界面を言います。
ということは、若干効率が悪い2分の1波長ダイポールアンテナ になったということなのでしょうか。
MTS-100 DXはアンテナが短いので、それを補うためにローディング・コイル を入れていて、アンテナに巻きつけた銅線と都合よく電磁結合したとしか思えません。
ローディング・コイルというのは、波長に対して短いアンテナは容量性になってしまうので、インダクタンスを持つコイルを入れて容量性を打ち消そうとするものです。
自動車に付いているアンテナで、途中がコイル状になっていたり、膨らんだ物が付いているのを見かけると思いますが、これがローディングコイルです。
ローディング・コイルにも電流が流れるので、電流の二乗に比例して電力は熱となって無駄に消費されます。
そのため、電流の小さいアンテナ先端部にローディングコイルを入れるのが理想的なのですが、アンテナの強度上の問題から中間部や基部に入れるのが普通です。
特定小電力トランシーバーの場合、4分の1波長ユニポールアンテナ でも、約17cmがフルサイズのアンテナ長ですから、このトランシーバーの場合は極端に短いことになります。
アンテナ全体をコイル状に作ることがありますが、この場合はヘリカル・アンテナ になります。