ピンホールメガネと視力回復の考察

(2020年9月10日作成 2020年10月6日更新)

視力回復を期待する方法には⇒ 視力回復の研究 視力が回復する方法はあるのか?に書いたようにたくさんありますが、今回は、「ピンホールメガネ(孔開きメガネ)」を見直した話です。
ピンホールメガネというのは、レンズの部分に1つ以上の小さな孔が開いた黒いプラスチック板がはめられたものです。
ピンホールメガネ
写真は、2020年8月に100円ショップで110円で購入したものです。
ピンホールを使った視力回復法を謳う書籍や雑誌には簡易なものが付属しているので外観さえ気にしなければ自作可能ですが、工作好きで無ければ100円ショップで購入した方が簡単です。

ピンホールメガネの原理

ピンホールメガネを掛けると視力の悪い方でもスマホ画面や外の景色がはっきり見えます。乱視の方でも夜景の街の灯が滲んだりだぶったりせずにはっきり見えます。
ピンホール眼鏡ではっきり見える理屈は、カメラでいう絞り(F値=レンズの焦点距離÷レンズの有効口径)を大きくすると焦点深度(被写体深度)が大きくなる現象と同じです。
スマホ内蔵のカメラ全盛で「絞り」が解らない方が増えていると思うので簡単に説明します。
スマホに内蔵されたカメラでも凸レンズで結んだ像を電気信号に変える撮像部分を持っていますが、撮像部分は星の光のような僅かな光でも電気信号に変換する能力を持っているので、太陽光に照らされた物を写そうとすると電気信号に変換できる上限値を超えてしまって真っ白になってしまいます。そこで、光が撮像面に当たる時間を短くしたり、カメラレンズの中に光を遮蔽する物を入れて暗い像が撮像面に結ぶようにしています。時間を短くするのがシャッターで、レンズの中に遮蔽物を入れて暗い像を作るのが「絞り」です。
絞りのF値を大きくすると、ピントの合う範囲が大きくなります。
詳しくは、⇒ 暗い所で本を読むと近視になる理由 に書いていますが、光学機器ではレンズのF値(焦点距離÷有効口径)と言われる値を大きくするとピント合わせが不要になり、逆にF値を小さくするとピント合わせに精密さが要求されます。
焦点深度の仕組みは、ピント合わせ機構を不要にした安価なカメラで使われ、F値を大きくして、例えば、レンズ前1mから無限遠までピントが合うと説明書に書かれます。
この方式のピント合わせ不要カメラ(パンカメラ)は複雑なオートフォーカス機構が不要なので安価に作れますが、F値が大きいために像が暗くなるので明るい場所でしか綺麗に撮れません。

ピンホールメガネの小さい孔によって眼の有効レンズ口径が小さくなるためにピンボケが許容出来る距離(水晶体から網膜までの距離)が広がるためにピンホールメガネを掛けると裸眼よりはっきり見えるようになります。
また、F値を大きくすると、レンズの光軸に平行な光しか使わずに済むためにレンズの持つ収差が一部を除いて軽減されます。眼の場合も、乱視の原因になる角膜や水晶体に多少の歪みがあってもはっきり見えることになります。(ただし、強度の近視や乱視がある場合は、ピンホールの孔径を更に小さくしてF値を大きくしないとはっきり見えませんが、孔径を小さくすると光が遮蔽物の裏に回り込む回折現象によってはっきり見えなくなるので限度があります)

眼は視力を保つ自動制御機構を持っているのではないか

眼の周囲をマッサージしていて眼球を圧してしまうとしばらくは見づらいですが、しばらくすれば戻ります。
視力が良い方は眼球を圧してしまった後でもしばらくすれば点光源の星空がカメラ以上にはっきり見えます。カメラでは変形するほど圧力を加えたら星空が点光源の集まりに写ることは期待できません。

眼はなぜ機能を保てるのか

眼は光の受容体に過ぎずに脳が見ているからなのか・・・
視力回復を謳った本などでは「脳が見る」と主張されて脳との連携作業が強調されています。この場合の「脳」が頭蓋骨内に納まっている脳なら間違います。下図は錯視の説明で使われるものです。
錯覚の説明図矢付き線
水平の直線部分は物差しを当てて計れば同じ長さですが、人が見たときは異なって見えます。このような錯視現象は脳が過去に得た経験から起していると考えられて心理学の研究対象ですが、「脳が見る」と強調している視力回復法では、その根拠となっています。
⇒ 地平線上の太陽や月が大きく見える理由,天体錯視

スマホやパソコンの画面を見ているときに視野の横から蝿が入り込んだらどうでしょう、視線が素早く蠅に向くでしょう。頭蓋骨内の脳に一々お伺いを立ててから視線を動かしていては遅くなるので眼の神経が勝手に処理して視線を動かします。家蝿ぐらいなら遅くなっても害は無いですが、毒虫だったら時間差 が生死を分けますから。
⇒なぜ、鷹は驚異的な視力を得られるのか?
このように眼は単独である程度の作業が出来ます。
⇒人の眼の構造と巧妙な仕組み
この延長線上というより眼の機能の本質で、眼は単独で物が良く見えるように自動的に角膜や水晶体、眼球の形状が制御されていると考えられます。
眼自体がよく見えるように角膜や水晶体、眼の形状を自動的に変えるのは、眼が外部からの力で容易に変形するのですから当然です。

眼が自動的に良い視力を保とうとしているのに、なぜ近視になるのか

現代人は近くの物を見ることが多いから近視になると言われていますが、私は受験勉強中に視力が落ち始めたので、近くを見過ぎたという主張には逆らえません(笑)

私が推測する近視になる過程
  1. 印刷物やスマホ画面を近距離で集中して視る時間が長くなる。
    そのために眼は楽をしようとして近距離向きになり掛ける
  2. 遠方の物にピントが合いづらくなる。
    しかし、遠方の物を集中して視ることは少ないので見づらさを気に留めないで過ごしてしまう
  3. しばらくの間、上記1と2を繰り返す
  4. 遠方の物にピントが合わないのに合わせようとするために乱視状態になる。
    たとえば、遠方の対象物が長方形だか正方形だか、それとも別の形だか判らないのに無理やり網膜に像を写すために
  5. 4の状態は疲れるので眼は遠方の対象物にピントを合わせようとしなくなる。
    結果、眼はますます近距離向きになってしまう

私が推測した上記の近視になる過程を逆に辿れば少しでも眼は視力を取り戻すことが出来るのかも?と。
逆というのは、少しでも毛様体或いは眼球を支える眼筋を弛緩させた状態(遠方を見ている状態)ではっきりした像を網膜上に写すことです。

ピンホールメガネが視力回復に繋がる条件

そこで、ピンホールメガネの出番です。
ピンホールメガネを掛けて視た場合は、眼はピントを合わせる労力を必要としません。定説のヘルムホルツ説では水晶体の厚み(曲面率)を変える筋肉(毛様体)の緊張を解く、異説のベイツ説では眼球の前後方向の大きさを変える筋肉(眼球を支え、眼球を動かす筋肉)の緊張を解くので、ピンホールメガネは視力回復に役立つというのが、ピンホールメガネのキャッチコピーです。
キャッチコピーの真偽はともかく、水晶体の厚みを変える毛様体と眼球の前後の長さと角膜の歪みに影響するかも知れない眼球周りの6本の筋肉を緩めて置いたところにピンホールメガネではっきりした像を網膜に写せば、眼の自動制御機能が戻る可能性があるのではないでしょうか。

ピンホールメガネで視力が回復する条件

長時間賭けていたピンホールメガネを外した後に僅かな間でも視力が上がる。

ピンホールメガネを掛けると光量が不足するので光彩が開くでしょう、カメラで言えばFが小さくなりますからピントの合う範囲は狭くなっています(ピンホールメガネで瞳の有効口径が小さくなっているので見え方は良くなっています)。ピンホールメガネを外した直後は光彩が開いていますから視野が明るく感じますが(視力が上がっても明るく感じますが)、それでも視力が上がっていれば眼のピント合わせ機能が働いている証拠となるので視力回復への一条の光かも知れません。
また、左右の視力差が大きい不同視の方は、ピンホールメガネを掛けている間だけでも左右の視力差が小さくなるので、左右の眼からの像の融合トレーニングになります。視力の落ちる目でも左右が融合されると両眼視力が上がります。

ピンホールメガネの孔は1つがよい

ところで、市販のピンホールメガネは多数の孔が開いています。このタイプは視野が広く明るいのでピントが合うことだけを考えれば使い勝手はよいのですが、視力回復目的では不都合だと思うようになりました。それは、乱視の様にダブって見えることがあるということです。正常に見える感覚を呼び戻すことを目的にしているので、瞳孔に真っすぐに入ってきた光が中心窩に結像させることが重要です。
そこで、百均で購入したピンホールメガネの左右に穴を1つずつにしてみました。綺麗に作るなら粘土や黒塗料で孔を塞ぎますが、眼に近いところで使うのでアレルギーのある方は塞ぐ材料に気を付けてください。
孔を一つにしたピンホールメガネ
右目側をティッシュペーパーで巻いてあるのは、左右に孔を開けて両目で見ると視野が一致しなかったので極端に悪い左目だけをトレーニングするためです。以前から感じていた事なのですが、左右の目の視力が極端に違う不同視では悪い方の目をトレーニングすると良い方の目まで良く見えるようになるようです。(左右の目が同じ対象物を追うように出来ているからかも知れません)
片方の眼だけのピンホールメガネの方が市販品をそのまま使うより疲れません。多数の孔で両眼同時に使うタイプは、乱視や複視の様に左右の眼に写る像が一致しないので眼が非常に疲れます。

多数の孔が開いたピンホールメガネの孔1つを選ぶには百円ショップのダイソーで購入したネオジム磁石を使いました。(2020年9月購入)
ダイソーの購入したネオジム磁石
小孔を開けた紙片を市販のピンホールメガネに重ねてそれをネオジム磁石2個で下記写真の様に挟みます。
市販のピンホールメガネから最適な孔を探す方法
写真では、磁石を4個使って2箇所で挟んでいます。向かって右側は孔を開けていない紙で覆っておいてください。
このメガネを普通に掛けて明るい外の景色やテレビを見ながら紙片をずらしてよく見える孔を探します。ネオジム磁石は強力なので紙片をゆっくりずらした程度では落ちません。

私は視力と乱視が酷い左目だけ孔が一つのピンホールメガネ(右目側はティッシュペーパーで塞いだ)を掛けて録画して置いたテレビアニメの『アンパンマン』を見ています。子供向けテレビアニメは画のコントラストが強く、また、動きが激しいのでピンホールメガネで見るには最適だと思います。
3週間ほど経って、月を眺めた時に月1つ分ぐらい離れて薄い月が複数見えたものが月半分ぐらいのずれになりました。ずれが少なくなるだけで遠くの物が近くに見えます。
遠方は少しだけ見えるようになりましたが、逆に近くが見え難くなりました。老眼です、でも近視なのでまだ近くは見えます。
高校に入学するまで視力が1.5あったので(両眼なら2.0)、自転車のライトだけで街灯の無い道がはっきり見えました、懐かしい! いくら頑張っても戻れない世界でしょうけど

1ヵ月以上、1つ孔のピンホールメガネでテレビや外の景色を視ていたら裸眼では見えなかった遠くの看板の文字が読めるようになりました。
そこで、普通自動車の免許更新に行って来ました。もちろん、眼鏡の条件付ですが、両眼0.7の見え方から推測すると、遠くの看板文字読めなかった状態のままでは0.7のランドルト環が見えなかった感じです。
今まで色々な視力回復が期待できるというトレーニングをして来ましたが、1つ孔のピンホールメガネを使う方法が一番楽で成果がありました。特に経度の乱視には効果があるようです。
ピンホールメガネを使ってテレビが見えるようになったら外の景色を視てください。1点に集中しそうになった別の物に視線を動かすのがいようです。裸眼では見えなくて出来ない遠近法も出来ます。

テレビの通販番組でネオジム磁石を使った磁気ネックレスを見て思いついたのが、目の経絡(ツボ)にネオジム磁石が当たるように
目のツボにネオジム磁石
メガネを磁石で挟みました。上写真は左目の訓練用なので右側はティシュペーパーで覆っています。
磁石の効果は怪しさ満点ですが、私にはピンホールメガネは効きました。免許更新は無事に済みましたが、まだ続けます。これ以上安全で物臭でも出きる視力回復方法はありませんし。

10月に入ったよく晴れた日、自動車を運転しました。よく晴れた日には青地に白文字の案内板などは眼鏡を掛けてもはっきり二重に見えることがしばしばなのですが、この日は二重に見えることはありませんでした。眉毛の下の眼窪辺りのこわばり感も少しでした。乱視症状は軽くなったようです。