身近な自然と科学

鑑賞魚用 底面式濾過器の仕組みと作り方

金魚や熱帯魚を水槽で飼うときには、魚の糞尿や餌の残りカスなどで水が汚れるのでしばしば新しい水と入れ替えなければなりません。
このときは、魚は水温や水質の変化に弱いので、水槽に入っている水の半分ぐらいずつ取り替えます。
しかし、しばしば取り替えるのは億劫ですし、水を取り替えるたびにストレスを与えると魚にもよくありません。
そこで、下のような濾過装置を使うことになります。
下図のものは 底面式濾過器 と呼ばれるもので、ホームセンターなどの観賞魚用品売り場で売られています。
底面式濾過器の設置図
非常に簡単な物なので直ぐに作れますし、自分で工作すれば金魚鉢やガラス瓶などのような変形している物にも使えるものが出来ます。

底面式濾過器の自作が簡単な理由

下図は底面式濾過器の模式図です。
水槽に入っている水を、砂層(厚さ2cmほど)で上下に分けます。
底面式濾過器の仕組みの説明図
それには、小さな孔をたくさん開けたプラスチック板を使います。
この板の上に砂を敷き、この板を水槽の底から3cmぐらい上で支えるようにすれば、砂層で水が上下に分けられます。
100円ショップなどで売られているプラスチック製のトレーに、1cm間隔ぐらいで適当な大きさの孔をたくさん開けて、逆さにして使ってもいいですし、深さが3cmぐらいのプラスチック製のザルを逆さにして水槽に沈めてもいいです。
孔が大きすぎて砂が下に落ちてしまう場合には、濾過用のガラスマットを薄くして載せて、その上に砂を敷きます。
砂を敷く前に、この分けられた上下の水を繋ぐためにパイプ(青い矢印が上を向いている部分)をが通す孔を開けておきます。
パイプは、水道用の内径13mmの塩化ビニールパイプが向いています。
このパイプの長さは、砂を入れる前の水槽の底から、魚を飼う時に水を入れる高さより1cmぐらい高い位置になるように切ります。
パイプを買うときに、このパイプを直角に曲げて継ぐための継ぎ手を1個買っておきます。
これは、上の水槽の写真に付いているパイプの上になります。
塩化ビニールパイプなので加熱すれば容易に曲げられますが、継ぎ手を利用した方が長さ調節が出来て便利です。(この場合は挿し込むだけでよく、接着剤は必要ありません)
この塩化ビニールパイプの下端から1cmぐらいのところにビニールホースが入るくらいの大きさの穴を開けます。この孔は塩ビパイプを貫通させないでください。
ビニールホースは観賞魚用品売り場で売られているエアーポンプに繋ぐ細いものです。
塩ビパイプの用意が出来たら、このパイプを孔をたくさん開けた板に開けたこのパイプ用の大きな孔に挿し込み、下に細いビニールパイプを挿し込んで水を入れた水槽に沈めます。
砂を入れる前に、孔をたくさん開けた板が浮き上がらないように大きな石で重しをして、細いビニールの片端をエアーポンプに繋いでみます。
塩ビパイプの上端から水が出るはずです。
水が出ないときには、空気が出るビニールパイプの先端(上図のAの部分)にビニール製の網などを被せて細かい気泡が出るようにします。
鑑賞魚用のエアーストーンの小さな物(塩ビパイプ内に入る大きさ)が手に入れば好都合です。
水が出たら、よく洗った砂を、小さな孔をたくさん開けた板の上に載せ、砂や小石などで、パイプが倒れないようにします。
砂を入れると水が濁りますが、エアーポンプを作動させておけば、直ぐに透き通った水になります。

底面式濾過器の動作の仕組み

塩化ビニールパイプの中で気泡が出来ると、気泡の上の水は気泡によってパイプ内を上に押し上げられ、 また、気泡を含んだ水は比重が軽くなるのでパイプ内を上に上がって砂の上に流れます。
これと入れ替わるように、砂の上の水が砂層に入り、砂層の水は下の水になり、下の水は塩化ビニールパイプ内に入ります。
砂層中や表面には細菌やバクテリアが棲みつき、魚の糞や餌の食べかすを分解してきれいな水にします。
底面式濾過装置のメリットは水槽の底面全てが濾過に使えるので浄化能力が高く、熱帯魚では冬場は水温を高めにするので濾過装置内も温度が低くならずに浄化細菌などの活動を維持できることです。

ただし、浄化細菌など分解されても硝酸になって水槽中に残るので、定期的に水を取替え、砂を洗う必要があります。
水草を植えると硝酸を肥料にして減らしてくれますが、水草が砂に根を張るので底面式濾過では掃除がやり難くなるので、水草は植木鉢に飢えるようにして鉢ごと水槽に入れます。
また、水草を入れた場合には、水草が光合成をするために日光に当てるか、水草用の蛍光灯で水槽を照らす必要があります。
光合成に必要な光を十分当てないと、水草は水中の酸素を消費するだけ酸素を生成してくれません。
また、魚に食べられない水草を選ぶか、水草を食べない魚を選ぶ必要があります。