身近な自然と科学

3D画像が光沢があるように見える理由

視力が回復すると謳われている「 3D画像 (立体的に見える画像)」を見て驚くのは、立体的に見えるのは勿論ですが、見える立体画像に写真のような光沢があることです。

巧みにつくられた3Dの風景画像を見ると実際の風景よりきれいに見えることがあります。
(3Dの風景写真は左目で見る写真を撮るカメラと右目で見える写真を撮るカメラの間隔を広げれば幾らでも立体感を誇張できるので、実際の風景では見ることが出来ない新鮮さが加味されることもありますが)

本題の3D画像の光沢についてですが、下図のような単純な画でも立体視が出来れば光沢が見られます。
光沢見える立体視画像の例
その理由の一つについて、セーチェノフ (ロシア)は、『 感覚器官の視覚 (1867 年)』の中で次のように説明しています。
物に当たった光が四方に分散して反射しているときはその物に光沢が無いように見えます。
物に当たった光が目の方向にだけ反射しているときはその物に光沢があるように見えます。
ここまでは納得できます。
光沢のあるプラスチック板の表面を紙ヤスリなどで細かい傷をつければ、光が四方に反射するようになるために曇り、光沢が消えます。

問題はこれからです。
光沢のある物で反射した光は一方向に反射し、その上、左右の眼の間が離れているために、極端な場合は、反射した光は左右のどちらか一方の目に入り、他方の目には入らないことが考えられます。
この度合いは左右の眼から反射面までの距離と、反射面と左右の視線がつくる角度に依存します。
多くの場合、反射した光は左右のどちらの目にも入り、光の量が左右の目で異なることになります。
光沢のある面を見た場合、上記のようになるので、人間の眼や脳は左右の目に入る光量が異なると光沢がある物と認識するように習慣付けられています。
このような前提に立つと、左右の目に入る光量が異なるように創られた画像は、その画像に光沢が無くても光沢があるように眼や脳が認識してしまいます。

眼や脳が騙されているのは確かですが、左右の目に入る光量の差が無いと思われる遠くの物でも光沢があるように見えますし、光沢のある物は片方の目で見ても光沢の程度は変わらないように思えます・・・
個人的には3D画像は、視力回復のために自動車の運転免許更新日が近くなったときの必需品です(笑)