ツェルナーの錯視
下図は、ドイツの天体物理学者カール・ フリードリッヒ・ツェルナー(1834-1882)が発見した錯視画像です。
錯視とは実際に存在するものが実際とは異なって見えるもので、実際には無いものが見える「幽霊の正体見たり枯れ尾花」の類は錯覚と言われます。
さて、垂直に長い四角形の内部に斜めの線を複数書き込んだものです。
書き込んだ線の傾きは水平に対して、上段下段とも左から5度、30度、60度です。
この図を見るとほとんどの人は四角形が真っ直ぐには見えません。
四角形の内部に書き込んだ線の流れる方向(線の上から下方向)に四角形が曲がって見えます。
上段は2つの図が線の下方向で向かい合うように並べてあるので、2図が寄り添うように見えます。
ところが、下段は、線の上方向を合わせ て図を並べてあるので二つの図が離れたいように見えます。(乱視の方は見難いです)
人間の視神経は下方向に流れるものに引きずられて直線感覚を失うようです。
浮ついている人に向かって「地に足をつけて考えろ」と諭すことがありますが、人間は本能的に下方が好きなのかも知れません。
自動車で長い下り坂を走っているときにスピードが上がってしまうのも、重力によって加速されるばかりでは無く、ドライバー自身が下方に向かうことに本能的な喜びがを感じているからと言ったらおかしいでしょうか。
また、足元がパイプだけの軽飛行機や、小型ヘリ、セスナなどの愛好者、登山愛好者も、日常では感じられない旅が出来るという以外に、低い地上に降りることに喜びを見出しているのでは、とか。
人間が樹上生活を営む猿から進化したと考えるなら、下方が好きなのも理解できます。