声が出るしくみと声変わり
声が出る仕組みからですが、先ず、紙笛を作ってみましょう。
縦5cm横10cmほどの薄い紙片を用意してください。
紙はメモ用紙やチラシなどでかまいません。
そして、下図のように折、中央に長さ1cmほどの孔を開けます。
そして、下写真の様に人差し指と中指で挟みます。
(左手で挟んだものです)
そして、この紙笛を細めた口に着け、紙の中央に開けた穴から呼気を強く出します。
上手にすると、ピーとかプーという様に鳴ります。
この紙笛が声を出す仕組みに良く似ています。
下図は顔から首までの断面を模式図にしたものです。
声は音波なので空気を振動させなければなりません。
そこで、気道の入り口にある声帯 の隙間から肺からの空気を出します。
すると、声帯が振動して音が出ますが、これと紙笛は同じです。
声帯が紙笛の孔の近傍です。
食道癌(咽頭癌)の治療で声帯を切除した方は声の元になる音が出せないので、外部から喉にバイブレーターのように振動する機械を押し当てて声帯が出す音の代わりをさせています。
これだけでは言葉にする音にならないので 声帯の周囲にある筋肉(喉頭筋)を使って、声帯を緊張させたり緩めたりして音を変化させています。
紙笛なら紙笛を挟んでいる人差し指と中指が喉頭筋に当たります。
喉頭筋に指令を出すのは脳ですが、脳からの指令は声帯を受け持っている反回神経を通して喉頭筋に伝えられます。
人によって声質が異なるのは、声帯の個人差もありますが、上図の口内や鼻の空間(口腔、鼻腔)の大きさや形が人によって違うことによります。
ですから、声が似ている人は顔つきも似ていることになります。
次は声変わりについてです。
男性は中学生ぐらいのときに声が低くなります。
これを声変わりと言いますが、 原因は喉仏(喉の中間にある甲状軟骨)が前後方向に大きくなるために、声帯が長くなるからです。
女性の喉仏は上下方向に大きくなるために声帯はそれほど長くなりません。
弦楽器の弦が長くなれば低い音が出るのと同じです。
声帯が弦なら口腔や鼻腔は弦楽器のボディー(共鳴箱)に相当します。
弦楽器がボディーによって音が変わるように、人間の声も口腔や鼻腔によって変わるのです