便と尿の色は血液が分解されて生じる
便と尿の色と血液が関係していると言うと驚くかも知れません。
健常人が色素を多く含んだ食物を摂取したり薬剤を服用していないときの便の色は、茶か少し黄色っぽい茶色です。
この茶色は ステルコビリン という化学物質によるもので、河川や井戸水などからステルコビリンが検出された場合にはこれらの水が糞便によって汚染されている可能性を示すマーカーになります。
ご存知の様に肺から体内へ酸素を取り入れられるのが赤血球中に存在する ヘモグロビン によります。
ヘモグロビンはタンパク質と鉄が結合(錯体)したもので、酸素の分圧が高いとき(酸素が多いとき)には鉄が酸素と結合し、酸素の分圧が低いとき(酸素が少ないとき)には鉄と酸素の結合が切れるという便利なものです。
赤血球が 寿命を迎えると、ヘモグロビンが持っているヘム構造が壊れて ビルビリン になります。
ビルビリンは肝臓でコレステロールからつくられる胆汁酸と一緒になって十二指腸に分泌されます。
ビルビリンは腸内細菌によって還元されて無色の ウロビリノーゲン になります。
ウロビリノーゲンは一部は腸から再吸収されて肝臓・腎臓を経て尿として排出されます。
この間にウロビリノーゲンは酸化されて黄色の ウロビリン になり尿を黄色くします。
腸内に残ったウロビリノーゲンはその両端に付いているピロール還が還元されて ステルコビリノーゲン となり、ステルコビリノーゲンが酸化され、茶色のステルコビリンになって大便に色を着けます。
上記の化学物質や変化を理解するのは難しいですが、便と尿の色と血液が関係していることは理解できたと思います。
赤血球が壊れるより排便や排尿が多い乳幼児では健康でもそれらの色は白っぽくなりますし、便秘や排尿回数が少ない方は水分が体内に再吸収される割合が高くなりますからそれらの色は濃くなります。
上記したような過程で便や尿に色が着くので
壊される赤血球量の異常(溶血性貧血)
臓器の異常(肝臓病)
胆汁の通り道の異常(胆道閉塞症)
腸内細菌数の減少(抗生物質の服用)
などの病気で、便や尿の色は変わります。