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微分方程式解法入門 部分分数分解

例として、非線形微分方程式 dydx=ayby2 を解きます。
ただし、abは定数です。
この式は、ロジスティクス微分方程式と呼ばれ、1838年ベルハルストが人口論を解いたときに使ったものです。
人口は時間の経過と共に増えるがやがて急ブレーキが掛かって飽和するというものです。 人口が増えれば食料などの資源の供給が間に合わなくなって養えなくなりますから人口は増えなくなります。 人の世界で考えると嫌な気持ちになりますが、細菌や雑草でも限られた空間内では無限に増え続けることは出来ないので、当たり前の事を言っている微分方程式です。
この dydx=ayby2 の微分方程式の解法は易しい部類に属しますが、数式に弱い私には何をやっているのか判らなくなるほど複雑でした。
微分方程式と解く前に、解くのに使うテクニックの部分分数分解について(部分分数分解は、元の式を簡単にして微積分をしやすくする役割があります。)

部分分数分解とは

たとえば、分数 1x23x+21x1+1x2 の形に変えることです。
この例の部分分数分解は簡単なのですが、複雑な式になると才能に恵まれた方はよいのですが凡才では、数式の型毎に効率よく分解する方法を習熟するしかないです。
簡単な例ですが
(・・・式1)1x23x+2=1(x1)(x2)
式1の右辺を下 式2の形にしたい
(・・・式2)ax1+bx2
式2を通分し
(・・・式3)ax+bx2ab(x1)(x2)=(a+b)x(2a+b)(x1)(x2)
式3の分子は1なので
(a+b)x(2a+b)=1 a+b=0 2a+b=1 a=1 b=1
よって、
1x23x+2=1x1+1x2

ロジスティクス微分方程式の解法

最も難解なのは、部分分数分解です。教えて貰えば「なるほど簡単」ですが
式5が解くロジスティクス微分方程式です。
(・・・式5)dydx=ayby2
変数分離の方法で解くために右辺を整理してみます。
(・・・式6)dydx=ay(1bay)
少しでも見やすいようにM=baとして
(・・・式7)dydx=ay(1My) (・・・式8)1y(1My)dydx=a
ここで、式8の左辺を部分分数分解します。
(・・・式9)(1y+M1My)dydx=a (・・・式10)(1y+M1My)dydxdx=adx (・・・式11)1ydy+M11Mydy=adx
式11の左辺2項目は置換積分法を使います
(・・・式12)ln(y)+C1ln(1My)+C2=ax+C3
対数同士の引き算は割り算になるので次の様に変形できます
積分定数はC4にまとめました
(・・・式13)ln(y1My)=ax+C4
対数を指数に直します
(・・・式14)eax+c4=y1My (・・・式15)eC4eax=y1My
eC4は定数なので、積分定数Cと置き換えます
(・・・式16)Ceax=y1My
式16をyについて解き
(・・・式17)y=Ceax1+CMeax
Mを元に戻してロジスティクス微分方程式の一般解が求められました
(・・・式18)y=Ceax1+Cbaeax