自由研究向け:水を使った温度計の作り方
金属や液体の温度による体積変化を利用した身近な物
温度が上がると、ほとんどの物は体積が増します。 変化する割合を体積熱膨張率や線熱膨張率と言い、物質によって値が異なります。
真夏の暑い日に、電車のレールが曲がることがあるのも、レールを作っている鉄が温度が上がって延びるからです。
線熱膨張率が大きく異なる2種の金属板を貼り合わせた下図のような物をバイメタルと言います。
温度が上がると線膨張率の違いから線膨張率の小さい金属の方に曲がります。曲がり具合で針を動かせば温度計になりますし、バイメタル(貼り合わせた金属)を電極にすれば、温度が上がった電流が流れる、または電流が切れるという自動スイッチになります。
上図の様に構造が簡単なので、安価な熱帯魚水槽の加温ヒーターや電気コタツ、電気アンカなどに使われています。
液体の体積変化を利用した物は、棒状アナログ型の体温計や温度計です。液体は水銀や灯油です。
なお、温度を数値で表示するデジタル温度計は、物質の電気抵抗が温度によって変化する性質を利用しています。
離れた所から温度を測るには、温度が有る物は赤外線を放射する性質を利用しています。
水の熱体積膨張率を使った温度計の作り方
下図は水を使った温度計です。
気温が上がってガラス瓶の中の水が温まると、水の体積が増します。
その増した変化を読みやすくするために細いガラス管が接合してあります。
例えば、ガラス管の内側の直径を1ミリメートルとして,水の体積が1立方ミリメートル増えたとすると、ガラス管の中の水位は
1÷((1÷2)×(1÷2)×3.1415926)=1.273・・・
となって約1.3mm上昇して表れます。
この型の温度計を自作する場合は水中で管と瓶を接続した方が作りやすいです。
瓶と管の接合にはゴム栓や水中でも使えるパティが良いですね。
水のように温度で体積が変化する割合を「体積熱膨張率」といい、水の場合は20度のとき 2.1×10^-4/℃ です 。市販の温度計は灯油を使っていますが、灯油の方が水より1桁熱膨張率が大きいです。ですから、水を使うと体積変化が小さいので難しいです。
水は無害なので水が使えれば、水銀や灯油を使わなくて済むのに水が使えない理由が体積膨張率の小ささにあります。しかし、水が温度変化で体積が殆ど変わらずに何処でも入手できる物なので、水を重さの比較に利用していた時代がありました。