身近な自然と科学

虹が出来る理由

空に架かった虹の写真
光をプリズムに通すと、その光に含まれている光の色に分かれます。
太陽光はもちろんのこと、蛍光灯や白熱電球から出る光、天体が放つ光も色々な色の光に分かれます。
ガラスなどの透明な物質で作られた三角柱のプリズムが手許に無い場合は、100円ショップなどで売っている望遠鏡や双眼鏡で明るい恒星や月を見てください(太陽は絶対見ないこと、玩具のような望遠鏡や双眼鏡でも失明します)。
星や月が赤や青い色で滲んで見えますが、これもレンズがプリズムになっているからです。
望遠鏡やカメラなどの光学機器では「色収差」と言って嫌われるもので、少し高級なものになると、何枚かのレンズを使って色収差を打ち消して目立たないようにしています。

白色光が色々な色の光に分かれる理由

光は粒子の性質を持っていますが、音のように波の性質も持っています。
光が屈折するのは、光(電磁波)の速度は物質の誘電率に依存するからです。アインシュタインの光の速度が変わらないというのは真空中の話です。光などの電磁波は、電界と磁界の周期的な繰り返しなので、電気的、磁気的な影響を受けます。
誘電率というのは、その物質を電極間に挟んだときに蓄えられる電荷量と真空を挟んだときに蓄えられる電荷量の比で、物質によって決まっています。それで、誘電率が異なる境目に斜めに進入した光(電磁波)は、速度が速い方が先に進むので遅い方に曲がります。 これだけでは、光が曲がるだけですが、誘電率は波長によって異なるので、白色光の様に色々な波長の光が混じっている場合は、波長の短い光は波長の長い光より大きく屈折することになり分かれます。

私たちの肉眼で見える光の範囲(可視光)で言えば、紫に行くほど波長が短く、赤に行くほど波長は長いので色によって屈折率が異なるために紫~赤までの色に分かれます。
虹の場合は、下図のように空気中に漂っている水滴に太陽光が入るときと、水滴から太陽光が出るときに太陽光が屈折します。
霧の水滴に当たった太陽光が反射と屈折して分光する説明図
上図で解るように、虹を見るためには太陽を背にして見える空に水粒が無ければなりません。
朝なら虹は西の空、夕方なら虹は東の空に見える訳ですね。

虹で簡単な天気予報が出来ます。
天気を左右する高気圧や低気圧は偏西風に乗って西から東に動いて来ますから、 夕方、虹が見えたら西の空には水粒が多いということになり、時間が経ったらそれがやって来るから天気が悪くなると予想できます。

ところで、上図では水粒の仲で1度反射していますが、条件によっては2度反射しすることがあります。
このときは、虹の外側が赤から内側に向かって紫という通常の虹の他に、この虹の外側に虹の外側が紫で内側に向かって赤という逆の虹が見えます。

人工的に虹を作るのは簡単です。
晴れた日に太陽を背にして霧吹きなどで水粒を作ってやるだけです。
霧吹きで作る虹が見える角度の説明図
太陽光-水粒-視線の角度が40度ぐらいで見えるはずですが、実験したり、運良く虹が見えたらスケッチしたり、写真に撮って角度を確かめてみてください。