夜間に湿度が上がる理由と乾いた砂漠でも生物が棲める理由
気温が下がると湿度が上がる
古い話になりますが、2010年8月18日放映の フジテレビの「とくダネ!」で、天達予報士が昼間より夜間に湿度が上がる理由を説明していましたが、解りやすくしようとして却って解り難くなったような気がしました。
小学生並みの数式を使えばいとも簡単です。
湿度には絶対湿度 と相対湿度 があります。
絶対湿度は空気1立方メートルに含まれている水の量を表し、相対湿度は空気が含むことが出来る水の量に対して実際に含まれている水の量を表しています。
私たちが普通に使っている湿度は後者の相対湿度です。私たちが不快に感じるのは汗に含まれる水分が気化して皮膚温を下げないからなので、生活上は相対湿度が問題になります。
相対湿度は次の式で表されます。
空気中に実際に含まれている水の量が同じでも、分母に当たる「空気が含むことが出来る水分量」が増減すれば、湿度(相対湿度)は逆比例して増減します。
そして、 空気が含む(保持)ことが出来る量は気温が高ければ多くなり、気温が低ければ少なくなります。
夏でも夜になれば気温が下がりますから、空気中に含むことが出来る水分量が減ります。上式の分母が小さくなるので私たちが湿度と呼んでいる相対湿度が上がります。
この事を実験で確かめるには、室の湿度を測りながら冷房を弱めに入れてください、室温が下がるに連れて湿度が上がって行きます。
下写真は、2018年7月23日0時~1時に掛けて実験したときの値です。温湿計は、オーム電機HB-T01-W
この実験をするときに注意することは、エアコンは空気を冷すときに除湿をしてしまうので長時間エアコンを作動させていれば室内の気温が下がっても湿度は上がらないということです。
気温が下がれば湿度が上がるのがもっと端的に判るのは、氷水を入れたガラスコップです。 ガラスコップのガラスの外側近傍の空気が冷されて含むことが出来る水分量が減ることで湿度100%を超えてしまうために空気中に含まれていた水分がガラス面に水滴として付着します。
空気の温度が高いときに多くの水分を含めるかは、空気を構成する窒素や酸素の分子の運動が激しく、分子間の隙間が多くなるので、水分子が入り込みやすいと憶えれば忘れ難いです。
気温と空気が含むことが出来る水蒸気量に関係している現象
- サウナ風呂は、空気の温度が高いので空気が含むことが多くなるので相対湿度が下がり、 そのために汗が気化熱で皮膚温を下げるために高温でも入っていられます。
- 砂漠地帯では昼間は気温が高いために空気が含むことが出来る水蒸気量に対して実際の水蒸気量が非常に少ないために乾燥していますが、 夜間になると気温が非常に下がり、空気が含むことが出来る水蒸気量が減って水蒸気が水滴となって出てきます。夜露です。 わずかな水分でも生存できるように進化した動植物が生きていけます。
砂漠地帯の昼夜の気温差が大きいのは、砂漠が砂だからです。石やコンクリートは温め易く冷め易い性質があります。 その上、雲が無いために夜間放射冷却によって熱は赤外線によって宇宙に逃げていってしまいます。
砂漠地帯では貴重な水を生み出しますが、湿潤な日本では、夜露の他に霧を発生させます。 - 夏季、冷凍庫を開けたときに白い煙のようなものが現れますが、 これは冷凍庫内の冷気が室内の湿度の高い空気に触れたために空気中に居られなくなって水になって出てきたものです。
乾燥した寒気と、湿った暖気がぶつかってミニ前線状態になったとも見えます。 - 冷凍庫や冷蔵庫の冷却器部分では、庫内の空気に含まれていた水蒸気が氷点下数十度の冷却器で急激に冷されるために 水蒸気から液体の水を飛ばして氷に直接変わって霜になります。昇華と言います。 この冷却器に付いた霜は冷凍庫や冷蔵庫が冷えなくなる原因になることがあります。
- 冬季に雨や雪が少ない地方では夜間の冷え込みのために空気中の水蒸気は水滴になって地面に落ちますが、 昼間、少し暖かくなっても、夜間に水になったものが空気中に全て戻ることは無いので相対湿度が下がり乾燥します。