身近な自然と科学

飛行機雲と上空の湿度の関係

ジェット機の後に出来た飛行機雲
ジェット機の直ぐ後から出ている飛行機雲の写真 2006年11月29日撮影
2006年11月29日撮影

ジェット機が飛んだ跡に見えることがある飛行機雲も自然の雲と変わりありません。 水蒸気が小さな水の粒となり、この水粒が凍ると空に長時間浮かんでいる雲になります。

ただし、飛行機雲の場合には、ジェット機の排気ガスに含まれている水蒸気が高度10000m付近の冷たい空気(マイナス37度前後)で冷やされて小さな水粒(氷粒)になったものです。
水粒になるときに核になる小さな粒子があると、空気中の水蒸気が水粒になりやすいのですが、好都合なことに、ジェット機の排気ガスの中にはジェット燃料を燃やしたときに出る小さな物質も含まれています。 ジェット機が出す排気ガスの量は大空と比較したら少ないですが、水粒の核になる親水性微粒子がたくさんあると雨が降る可能性もあります。

飛行機雲が長時間残るか? 直ぐに消えてしまうか? は上空の湿度に関係します。
空気が乾いていると、ジェット機の排気ガスによって作られた水粒は蒸発してしまうので、飛行機雲は短時間の内に消えてしまいます。
ところが、空気が湿っているときには蒸発しないで上空の冷気によって凍ってしまい、小さな氷粒として上昇気流に乗っていつまでも浮かんでいることが多くなります。
ですから、飛行機雲が直ぐに消えてしまうときには上空の空気は乾いている。飛行機雲がいつまでも消えないときには上空の空気は湿っていると推測できます。

ところで、夕焼けが綺麗だと翌日は天気が良いと言われています。雨を降らす低気圧や晴れをもたらす高気圧は西から東に吹いている偏西風によって西から東に移動して行きます。 ですから、遠くの西の天気が翌日の天気になります。
夕焼けは地球に降りそそぐ太陽光の内の青系の色が大気を構成する分子によって散乱されて地表に届かないために空が赤く見えるものです。西の空に雨を降らすような低い雲があれば当然夕焼けは見えませんが、西の遠くの空は湿度が低くて雲が無くてもそこより近いところの湿度が高いと雲が出来て雲は赤く染まり
夕焼け雲の写真2017年12月19日
ジェット機が飛んでいると飛行機雲も赤く染まります。
夕焼けで赤く染まった飛行機雲の写真2017年12月19日
光学60倍のカメラで撮っても機影がはっきりしないほど遠くの空ですが、短い飛行機雲が出来るぐらいの湿度があったようです。まるで飛行機が火を噴きながら飛んでいるように見えます。
この日2017年12月19日は昼間は晴れ、夕方は西の低い空を除いて曇り、翌日は晴れでした。