ラジオDE1103でSDR?

中国製短波ラジオDE1103は感度は良いのですが、通信型受信機と比較すると選択度がいまいち悪いです。
選択度が悪いと、アマチュア無線の様に局同士が近接している場合は隣接している局の音声が混じったり雑音となって聞こえてしまいます。
選択度を良くする方法としては、水晶や圧電素子を使ったフィルターが製品化されています。
これらのフィルターは、電気信号を機械的な振動に変え、希望の周波数で共振させ、 その機械的な振動を再び電気信号に変えることによって先鋭な特性を得ています。
しかし、製作には高い工作技術が必要なので高価になってしまいます。

高い周波数まで使える半導体素子と高速な演算が出来るLSIが安価に作られるようになると、 信号を含んだ高周波信号を幾つもの正弦波に分解し、必要な正弦波だけを集めて信号を取り出すようになりました。(フーリエ級数展開)
この方法によると、水晶フィルターなどを使わずに隣接した信号を除くことが出来ます。
この方式のラジオがSDR(Software Defined Radio)です。

私たちが直ぐに作れるSDRは、パソコンにUSBで接続するワンセグチューナーを使ったVHF・UHF受信機です。
USBワンセグチューナーを使ったソフトウェアーラジオ

航空機から放送されるADS-Bを受信してレーダー気分

受信周波数が25MHzぐらいまではUSB接続のテレビチューナーの流用で受信機が作れるのですが、 それより低い周波数帯(AMラジオ局や短波放送などがある)ではテレビチューナーが機能しないので受信機は作れません。
そこで、低い周波数をテレビチューナーが機能する周波数に変換してしまおうと考えます。
これをアップコンバーターと言い、製品化されています。

アップコンバーターを購入すれば簡単なのですが、回路の割には高価です。
(自分で部品を集め、プリント基板から作成すると考えれば安いのですが)
そこで、ものは試しと、手元にある中国製ラジオDE1103から中間周波数55.845MHzを取り出し、 これをテレビチューナーを流用したSDRで受信してみることにしました。
DE1103の回路図を見ると、中間周波数が取り出せるところは下図の赤丸の所(3)か、その下の(2)ぐらいです。

左側は中間周波数を作るミキサー回路に繋がっています。
左側中間周波数55.845MHzを第二中間周波数450KHzに変換するミキサー回路に繋がっています。

入力インピーダンスが高いFET増幅器で出力インピーダンス下げて取り出すのが正しい方法ですが、 2pFのコンデンサーを介して直接取り出しました。


取り出した中間周波数をSDR(sdrsharp)のアンテナに入力すると、

中国国営放送(7.260MHz)を受信したときのキャプチャですが、 USB接続のチューナーに接続した途端にノイズが多くなってしまい実用にはなりませんでした。
中間周波数を取り出すときに、インピーダンス変換を兼ねた緩衝増幅器を入れればいくらか良くなると思いますが、 中波や短波はデジタル機器から出るノイズの影響を受けやすいところなので。