故障の原因はコンデンサー?で再生復活

2017年12月、3ヶ月間の保障付きでONKYOのAVアンプ(TX-SA605)を中古購入しました。
ところが、翌日、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)入力で使おうとすると、 デバイスを認識して映像は入力出来るのですが、音が出ません。
ネットで検索すると、ONKYOのAVアンプにはある故障らしく、 同シリーズの型違いのアンプでは電子部品の電界コンデンサーを取り替えて直した記事がありました。
TX-SA605は2007年6月の発売ですから、購入したアンプがいつ製造されたかは不明ですが、 発売から10年経っていればコンデンサーの耐用年数を超えていても不思議ではありません。
回路図があれば取り替えるコンデンサーを特定、交換できますが、回路図がありません。

そうこうしている内に、光入力(OPTICAL)で1曲聴いた後ではHDMI入力が正常に働くことに気づきました。
そこで、光入力で音楽を聴き続けてみました。
すると、光入力を使わずに電源を切り放置した後でもHDMIが常に正常に機能するようになりました。

電界コンデンサーは使わないでいると壊れ、通電すれば自己回復することがあると知ってはいましたが、 こんなに顕著に現れたのは初めてです。

コンデンサーというのは、金属板2枚を電気的な絶縁層を挟んで向かい合わせたもので、 その金属板間に電圧を掛けると、電気が蓄えられるというものです。
平賀源内が復元したことで知られるエレキテルも、摩擦で起こした静電気をコンデンサーに溜めています。

で、電界コンデンサーというのは、プラスとマイナスの極板としてアルミ箔を使っています。
アルミ箔:電解液を染み込ませた紙など:アルミ箔
というように、アルミ箔で電解液を染み込ませた紙を挟んだ構造になっています。

電解液ですから電導性があります。
これでは、2枚の金属板で絶縁層を挟んでいませんが、電界コンデンサーの絶縁層はアルミ箔の表面に作る酸化皮膜です。
アルミ鍋の表面と同じですが、特殊な溶液の中で電界を加えて特別な膜を作っておきます。

コンデンサーの容量(電気を蓄えられる量)は、向かい合わせる金属板の面積に比例し、2枚の金属板間の距離に反比例します。
このため、プラスの電圧を掛ける側のアルミ箔の表面に小さな凸凹を作り表面積を大きくし、その後、特殊な溶液に入れて電圧を加えて絶縁層になる酸化皮膜を作ります。
マイナス極側のアルミ箔には特に処理は加えません。
こうして作った、プラスとマイナス極板になるアルミ箔で電界液を含ませた紙を挟むと、 電界液は絶縁層になる酸化皮膜を作っていないマイナス極と電気的に通じます。
ということで、電界液はマイナス極板と同じになって、プラス極板のアルミ箔の凸凹にまで入り込んで、 2枚の金属板の距離は、プラス極側のアルミ箔に作った酸化皮膜の厚みだけとなって極めて小さくなります。
その結果、電気を蓄える能力である容量が大きくなります。

問題はアルミ鍋が傷むように、 電界コンデンサーに使われているアルミ箔も電界液に接触しているために腐食します。
そこで、電界液の中には電圧を掛けると酸化皮膜を作る成分が入れてあります。

話をAVアンプの不具合に戻すと、 当該コンデンサーに電圧が掛からない状態だったために腐食が進んで不具合を生じ、 私が長時間通電させたので、酸化皮膜が修復されて機能がある程度戻ったのでは、 という期待になります。

ということで、テレビやラジオなどの電子製品はたまには通電しないと壊れます。
しかし、電界コンデンサーは電界液が蒸発して無くなってしまえば回復不能になるので、 使っていてもコンデンサーによる故障が起こらない訳ではありません。
接続にハンダを使わないで交換が容易な螺子止めのコンデンサーがあるくらいです。

追記
4,5日間TX-SA605で音楽を聴かず、スタンバイ状態にしていたところ、 パソコン側でHDMI接続をまったく認識しなくなりました。
見よう見まねで直そうかと思い、秋葉原の秋月電子でオーディオ用コンデンサーを買って来たのですが、 光ケーブル接続で2時間ほど音楽を聴いている内に直ってしまいました。
いつまで正常に機能するか判りませんが、使えば正常になる間は直す気が起きません。

追記
前の追記で、4,5日間TX-SA605を使わなくなったらHDMIを認識しなくなったと書きましたが、 それから再び直り、1年以上経った今(2018/03/09)まで正常にHDMIを認識しています。アンプのスタンバイ電源は入れっぱなしです