マルチパワーステーションを分解してみた
防災意識の高まりか、携帯需要を当てにしてか、ひと頃、手回しの小さな発電機を内蔵した 携帯用充電器兼ラジオ兼照明が出来ると謳ったグッズが流行りました。
スターリングクラブという会社が発売している「マルチパワーステーション」という製品はその一つです。
上の写真、左端の円筒部分が白色LEDを3個使った照明、その右の円い部分がラジオのチューナー部分、その右の長い円筒部分に陰極線蛍光管、太陽電池パネル、電気回路が収納、右端の円い部分がスピーカー
分解する前に、マルチパワーステーションの辛口レビュー
- 先ず、長すぎる。34.5cmもあります。肩掛けが付属していますが、非常時に持ち歩くには大きすぎます。
大きい方がいざというときに直ぐに見つかって良いですが。 - この製品の一つの売りである陰極線蛍光管による照明ははっきり言って役立たずです。取り扱い説明書には、手動発電機を240回(2分間)回して、照明時間が1~2分間とありますが、非常時には光質より見えれば良いのですから消費電力の少ないLEDで十分
- サイレン、ラジオAM、ラジオFMの切り替えスイッチが一つのスライドスイッチになっているのは困ります。
ラジオを聴こうとしてサイレンを鳴らしてしまう可能性があります - 暗闇の中でラジオを聴こうとすると、選局や音量がうまく調整できません。
パワーステーションのLED照明を点けても灯台下暗しで本体を照らす訳では無いので本体のスイッチ類が見えません。
高輝度LEDで無くてもよいからスイッチ類も照らすか、あらかじめセットした局が受信できるようにして他の調整つまみ類は暗闇で触っても容易に動かないようにしてもらいたい。 - ラジオ部分は貧弱です。スピーカーが小さい割には音は良いですが、電波の強い局しか聴こえません。
感度が悪いのは、消費電力を抑えるために、通常のラジオのような複雑な回路構成は採用できませんから仕方が無いですが。 - バッテリーが簡単に交換出来ないので長期使用は??
では、分解と言っても、実は余りにも単純なつくりなので途中で嫌になってケースを開いただけ。
左端はラジオの受信部が入っている部分(この中に小さなバーアンテナ入っている)
中央は本体基盤、黄色い四角のものはバッテリーパック、その下はスピーカー
中央下の歯車が付いているものは発電機(磁石部分が回転する交流発電機)
整流用ダイオード4本のブリッジ接続で直流に変換しています。
基盤の上は陰極線蛍光管、反対側(外側)にはアモルファス・タイプの太陽電池
下の写真は本体基盤のアップ
写真で判るように、トランジスターを使った超簡単な構成
全体の感想は、交流 発電機を使っているので壊れ難いと思いますが、発電機をもう少し大きなものにして、LED照明を明るく、携帯の充電を十分出来るようにし、小型化して、あとは必要の無い気がします。
どの機能も中途半端で、防災用というより、懐中電灯とサイレンを生かし、防犯ブザー代わりにして、夜間の犬との散歩向きです。
表題とはちょっとずれますが夜間犬用散歩にこんなものも
追補 2011/03/12
東日本大地震(東北地方太平洋沖地震)では余震や内陸部を震源とする地震が多発しましたが、停電に備えて枕元に置きました。大きいので部屋の中で行く不明にならないのがこの機種の唯一の利点。
災害に備えての手回し発電機付きの懐中電灯兼携帯用充電器は自宅に置くなら大型の物
常時持ち歩くなら、当然、ポケットやバックに入るような小型がいいです。小型になれば発電機を回し難いですが、孤立して電源が手に入らなければそんな事は言ってられませんから。
小型の物しか無いときは、A4判ぐらいの木板にゴムバンドなどで固定して目立つ所に置き、いざ、というときは取り外すのがいいです。
この機種に限らず、自宅が被害を受けていない所での計画停電のときには太陽電池の充電機能はちょっと便利です。日中は日当たりの良い所に置けば、ラジオぐらいは聴けます。
太陽電池付きの庭園灯も 計画停電のときは便利ですね。日中は外で充電、夜間停電時は屋内に置けます