身近な自然と科学

高温なのに火傷しないサウナ風呂の理由は

サウナ風呂は気温を100度近くまで上げた浴室に入って汗を出すというものです

サウナ風呂は高温なのに火傷をしない理由

気温が100度近くあっても火傷しないのか?
と疑問が湧いてきますが、健康な人が5分間程度なら耐えられます。
耐えられる理由は肌から噴出した汗が気化するときに熱を奪い皮膚温を下げるからです。
金属製の時計や装飾品などは汗を掻きませんから温度が上がっていて高温になるので着けたままサウナ風呂に入ると火傷をしますし、熱に弱い物は壊れてしまいます。
気温が100度近くになっても短時間なら「いい気持ち」などと居られるのですから、 水の気化熱は凄い力があるものだと思います。

湿度が高くても気化熱で皮膚温が下がる理由

次の疑問は、サウナ風呂に複数人で入っていると皆発汗して浴室内の湿度が高くなってしまい、汗が気化し難くなるのでは無いか?
フィンランド式サウナ風呂では浴室内で焼けた石に時折水をかけて蒸気を発生させるのでますます湿度が高くなり気化し難くなるのでは無いか?
ということですが、気温が高いので空気はたくさんの水蒸気を含むことが出来できるのです。
湿度には「絶対湿度」と「相対湿度」があります。
絶対湿度は体積1立方メートルの空気が含んでいる水蒸気量をグラムで表したもので実際に含まれている水の量です。
一方、相対湿度は空気が含むことが出来る飽和水蒸気量の内、実際に含まれている水蒸気量の割合を示したものです。
私たちが「湿度○○%」と言うときの湿度が相対湿度になります。
この割合が低いほど、水は気化しやすくなります。
サウナ風呂の浴室内の場合は絶対湿度が高いが、気温が高いのでまだまだ水蒸気を含むことが出来るので相対湿度が低く、 汗を掻いてもどんどん気化して皮膚温を下げてくれるということになります。
逆に気温が下がると相対湿度が高くなります。

サウナ風呂内では高い室温から身体を守るために汗をたくさん出さなければなりませんから、汗を出す汗腺や心臓などの循環器系が機能低下している方は体温が上昇して危険です。
また、汗で出た水分だけ体重も減少しますが、体液や血液の濃度を元に戻すために喉が渇くので体重減少はしません。汗を出すことを気持ちよく思う方の風呂だと思います。