身近な自然と科学

視点(座標の原点)を変えるとおもしろい

回転している物の速度

例えば、こんな質問をしてみます。
「 走っている自動車のタイヤの速度は、タイヤのどの部分でも同じですか? 」
自動車の写真
即座に「同じに決まってるだろう! タイヤは一体だから違ったらタイヤが壊れる」
こう考えるのはタイヤの中心(車軸)を座標の原点にもってきた方です。
タイヤのように回転している物の速度を回転の中心を原点にするときは「角速度」で考えます。
角速度とは、単位時間あたりの回転角度のことで、1秒間に1回転する物なら角速度は「360度/秒」 です。
角速度の説明図
タイヤの中心から見た速度はタイヤの どの位置も同じです

次は走っている自動車の外からタイヤの各部の速度を見てみましょう。
車の速度は静止している地面に対する速度なので、原点を或る瞬間にタイヤが地面に接している点とします。
下図のbが原点になります。
回転するタイヤを見るときの視点の違いを説明する図
上図の点 a と点 b の速度はどうなるでしょう。
a 点では車が進行する速度とタイヤが回転する方向が同じなので二つの速度が合わさって速くなります。
他方、b 点ではタイヤの速度から車の速度が引かれて遅くなります。
(原点を b 点にとっているので正確には b 点では停止なので、点 a をタイヤの上部、点 b をタイヤの下部と読み替えてください)