写真や絵画を立体的に見る方法
立体的に見ることを意図して撮られた3D用の写真では無く、何処にでもある、極普通の写真が立体的に見える方法があるといいます。
ここで改めて言うまでも無く、物が立体的に見えるのは、左右に6,7cm離れて二つの眼があり、 それぞれから、左右に離れた分だけ異なる画像が脳に送られ、この二つの画像を脳で1枚の画像に融合するときに立体を感じます。
ですから、獲物を追わなければならない動物、 例えば犬や猫、人間のように対象物までの距離感を的確に捉える必要がある動物は二つの眼が正面を向いて同じ光景を間隔がある二つの眼で捉えています。
これに対して、追われる方の動物、 例えば兎や馬は彼らを餌とする猛獣を早く発見するために、より広範囲の光景を捉えられるように二つの眼が左右を向いています。上記の事は下図を見てください。
では、一つの眼では全く距離の差が感じられないかと言えば、違います。
なぜなら、二つの眼で少しずれた光景を得て立体感を得る方法にしても、画像のずれた分以外に遠くの物は小さく見えることや陰影を利用していることは画法をみれば理解できます。 左右一方の眼でもある程度の距離感がつかめることは試してみれば判ります。
こう考えると、二つの眼が左右を向いている動物は画法に取り入れられた遠近法に我々人間以上に鋭敏になっていて、我々が考える以上の立体感を得ていることが想像できます。
- 立体感を得るには片目で見ます。これは、二つの眼で見ると、平面の写真を平面と脳が処理してしまうからです。
- 適正な距離から見ます。適正な距離とは、カメラが風景や物体を捉えた距離で見ることを言います。 即ち、焦点距離 fのレンズで撮った写真は、(焦点距離f×引き伸ばし倍率)が適正な距離になります。1つの眼でもある程度の距離感はつかめるのですから、カメラで撮った平面写真でも1つの眼で見るときに得られる距離感情報は含まれているはずだからです。
上記二つの条件を満たす例です。
カメラはキャノンのデジタルカメラ「IXY DIGITAL 95IS」
メーカーの仕様書によると、撮像素子は、1/2.3型CCD 焦点距離は、6.2(W)-18.6(T)mm
このデジタルカメラの望遠側(18.6mm)で撮ったものを L判(89mm×127mm)にプリントしたと仮定します。
撮像素子の大きさは、4.2mm×6.2mmなので、これをL判にプリントすると、引き伸ばし倍率は約21となります。
カメラの焦点距離18.6mmに引き伸ばし倍率21を掛けると約39cmとなります。
ゆえに、39cmぐらい離れた所から片目で見れば、想像以上に立体的に見えることになります。
絵画を見るとき無意識に立体感を得る動作をしている
無意識に平面の画像を立体的に見ていることがあります。
美術館などで絵画を観るときに、画に近づいたり遠ざかったりするのは画家が意図した立体的に見える鑑賞位置を探しているのです。
この場合は両眼で見ていますが、画から遠ざかるほど二つの眼で見ることによる立体感 (この場合は画を平面と感じる)は乏しくなるので一つの眼で見ているのと同じことになります。
当然、映画やテレビなどでも同じで、立体的に見えるスクリーンやディスプレイからの距離があるはずなのですが、 撮影カメラにズームレンズを多用しているので上記方法では立体感は期待できません。
ただし、3D仕様で作られた映画では無くて普通の平面の画像でも非常に大きな画像は立体的に感じるという性質があります。 テレビの小さな画面より映画館で観た方がよいと言う方は、雰囲気の他に、大画面から生じる立体感を享受しているのかも知れません。