身近な自然と科学

海が青く見える理由

「地球は青かった」という有名な言葉があります。
1961年旧ソビエトが人類初の有人人工衛星に成功しましたが、このときの宇宙飛行士:ユーリイ・アレクセーエヴィチ・ガガーリンが地球に帰還後に発したと言われるものです。 地球が青く見えたのは地球上の全面積の約70%が海だからです。地上からでも、沖縄や海外のリゾート地などのように海水の汚れていない所では海が青く見えますし、 また、プールの水も僅かに青み掛かったように見えることがあります。
海が青く見える理由(2019年4月9日10時58分撮影)内房線車窓から
(2019年4月9日10時58分内房線車窓から撮影)
結論から書くと、水は無色では無く、僅かですが青いのです。僅かに青いだけでも、何メートル、何十メートルという厚い水の層を通すとはっきりと青く見えるようになります。 青いセロファン紙を重ねる毎に青さが増して行くのと同じです。

では、なぜ水が青なのか?
私たちが物を見るときには、光がその物に反射して目に飛び込んできた光を見ています。ですから、光がまったく無い暗闇では何も見ることが出来ないので、照明器具を付ける訳です。
物の色は、その物に反射して目に飛び込んできた光の波長によって色を感じます。
水を見て青く感じるということは、太陽光が海に当たり、反射して目に飛び込んできた光が青と感じる光の波長だったということです。

ここで、補色という予備知識を仕入れておきましょう。
補色とは、A色とB色の光を混ぜたて無色になったとき、A色をB色の補色、B色をA色の補色と言います。 そして、補色の一方を減らすと、他方の色が強くなって無色で無くなります。
ということは、水の場合は青が強くなったのですから、無色の光が水の中を通過したとき、青の補色である赤が弱められたことになります。
水の分子中にある電子によって光の赤の成分が吸収されてしまったのです。

ただ、ここで不思議なことがあります。電子によって光の赤の成分が吸収されたのなら、水はもっと青くてもよいということになります。
実は、水分子中の電子が吸収する光はもっと波長が長い赤外線領域で、人間の見える光の範囲ではありません。
しかし、 水分子の電子が吸収する赤外線の波長の2分の1の波長のものも僅かに吸収します。 この波長を持つ光が、人間が赤と感じる光のために、その補色である青が僅かに強くなって僅かに青く見えるのです。