昼間見える月が白い理由と夜見える月が黄色い理由
夜、見る月は黄色っぽく見えますが、昼間、青空に見える月は白く見えますね。
昼間の月2008/11/19 09:17撮影
月は太陽光を反射して光っているのですから、月による反射光の色が昼と夜で変わるはずはありません。
では、なぜ、昼と夜では月の色が違って見えるのでしょうか?
この疑問は、空が青く見えることと同じです。
地球は空気の層で覆われています。空気は窒素分子や酸素分子で構成されていますが、これらの分子は可視光の波長より小さいものです。
光はその波長より小さいものに当たると、特徴的な散乱をします。 イギリスの物理学者Lord Rayleigh(1842-1919)によると、このときの散乱する光の強さは、光の波長の4乗に反比例します。これをレイリー散乱光と言っています
ですから、太陽光は大気層に進入すると、赤系より波長の短い青系の光ほど強く散乱します。その結果、空は青く見えます。
光が散乱すると見えるようになるのは、表面に小さな凹凸をつけた磨りガラスや、小さな空気泡を含んだ氷が白く見えるのと同じです。
上記の知識を踏まえて、夜、月を見てみます。 月で反射された光は大気層に進入し、このとき、青系の光は赤系の光よりより散乱するので、私たちの眼に届く光は青系の弱い光になります。 その結果、青の補色である黄色を感じるようになります。
次に、昼間の月を見てみます。月からの光は夜の月の場合と同じで青系の光が弱いですが、月からの光の他に強い太陽光も大気層に進入するために、 私たちの眼に入るときには青系の散乱光が青系の光を補って月が白く見えます。
月からの光が太陽光よりはるかに強ければ、昼間の月も夜の月の様に黄色っぽく見えるはずです。
現在は天体望遠鏡の接眼部に減光フィルタを付けて太陽を直視することは安全面から禁じられているようですが、 昔の学習用天体望遠鏡には接眼レンズに付ける太陽観測用減光フィルタが付属されていて、それを通して太陽を見ると、太陽は黄色く見えました。