エレベーターに乗ったときに感じる浮く感じと床に押し付けられる感じの理由は、ニュートンの運動法則によるエレベーター内で体重計が増減する理由
エレベーターが動き出した僅かな間ですが、エレベーターで上階へ昇るときには下から押されるような、下階に降りるときには浮くような気がしませんか。
エレベーターに乗っている人に掛かっている力で先ず思いつくのは重力($gm$)です。 ただし、$m$は人の質量。$g$は重力加速度、地球上でも場所によって値は僅かに異なりますが、$9.8ms^2$です。
重力だけでは落ちてしまいますが、床があるので落ちません。力で考えると、床からは垂直抗力($f$)が上向きに人に働いているので落ちないのです。
静止している人には、この二つの力、重力と垂直抗力だけが掛かっています。
ここで、ニュートンの運動の法則を思い出してください。
慣性の法則は「外力が働かなければ、静止しているものは静止続け、動いている物はそのままの速度で動き続ける」というものです。
運動方程式は、力=加速度×質量 というものです。
質量が有る物を動かすには力が必要で、質量が大きいほど大きな力が必要だという日常経験から理解できる事を表しています。
そして、最後は、作用反作用の法則です。これは、物に力を加えると、加えた物から同じ大きさで向きが反対の力を返されるというものです。 たとえば、手で机を叩くと、手が痛いのは反作用で手も打たれたからです。
このときに必要な力Fは運動方程式から
$f - gm$
この合わせた力で質量$m$の人が加速度$α$で動いているのですから
ですから、エレベーターが静止しているときと、等速で上昇または下降しているときは、 床から人に働いている抗力$f$は重力$gm$に等しくなります。
エレベーターが加速して上昇しているときは加速度$α$はプラスなので
人がエレベーター内で体重計に載っていれば体重計の指示値は大きくなります。
体重計の指示値は小さくなります。
エレベーター内に体重計を持ち込んで確かめるのは恥ずかしいので、 手のひらに載る小さなキッチン秤で下写真の様にして秤ごと上下させてみるか、 エレベーター内にこのような小さな秤と重りを持ち込めば確かめられます。
エレベーターの床が抜ける、または、エレベーター本体を支えているものが切れたりして、床と人が離れると 抗力$f$が$0$になり、加速度$α = -g $となって人は自由落下してしまいます。
ニュートンの運動法則の「作用反作用の法則」は出番がありませんでしたが、作用反作用は、力を与えた物と力を受けた物の間で作用するもので、 地球が人に与えた重力($gm$)の反作用は、人が地球に与えています。
床が人に与えた抗力($f$)の反作用は、人が床に与えています。
ですから、人が昇降しても作用反作用の関係、すなわち、大きさが同じで向きが反対の力を返すという法則は崩れていません。