百円ショップ・ダイソーで見つけた園芸用自動給水器のしくみと評価
夏が来れば思い出すはるかな尾瀬、ではないですが、夏が来ると鉢植えの果樹の水遣りによい方法は無いか?と悩みます。
留守にしなくても暑い盛りに毎日の水遣りは忘れてしまうのです。
そこで、百円ショップで売られている超簡易な園芸用自動給水器のしくみ・原理を説明し、評価をしてみます。
ペットボトルを理由した自動給水器
何処の百円ショップでよく見かける給水器は、孔が開いた円錐をペットボトルの口に付ける物です。
黄色い部分を土に挿します。給水量を減らしたいときは孔の1つをテープで塞ぎます。
私の使い方が下手らしく、2リットルのペットボトルを使っても直ぐに水が無くなってしまいました。ペットボトルから出た水の容積分だけ空気がペットボトルに入るか、ペットボトルが潰れなければ継続して水は出ません。日本酒を入れる一升瓶の様に口が狭いガラス瓶から水を出すのに時間が掛かるのは、狭い口から水が出るのと空気が入るのを同時にしなければならないからです。早く水を出すには、一升瓶を逆さにして底を回転させて瓶の中に渦を作ります。すると、水と空気が同時に入れ替わり続けます。
ペットボトル給水器の場合は、軟らかいペットボトルを使えば大気圧で潰れて直ぐに水が出てしまいますし、瓶の様に硬いペットボトルを使った時は土が乾いてしまうぐらいしか水が出ないでしょう。(上写真のペットボトルは直ぐに潰れてしまう軟らかいものです)
硬いペットボトルを使い、この給水器をペットボトルの口にねじ込むときにいい按排に空気が入る隙間が出来るか、土に挿した部分の小孔からいい按排に空気が入るかしないと2,3日間は水切れしないように、という希望は叶えられません。
サイホンを利用した自動給水器
次のは、ダイソーで108円で売られていた自動給水器です(2019/05/29購入)
この給水器はサイホンを利用しています。早い話、水を溜めた容器と土に挿した部分が水で満たされたパイプで繋がっているので水を溜めた容器と土を挿した部分が1つの容器となり、低い位置にある土を挿した部分から水が出て来ます。 このままでは水が出過ぎるので土に挿した部分は細かい孔がある素焼きになっていて水の出を抑制しています。
もっと簡単にこの自動給水器を説明すると、底孔を塞いだ素焼き鉢を埋めて水を満たしただけ。素焼き鉢は乾きやすい鉢と言われるように少し水を通すので少しずつ土中に水が浸透していきます。
最初に説明したペットボトルを利用した自動給水器と変わらないです。
これでは身も蓋も無いので、ダイソーの自動給水器と絡めてサイホンの説明をします。
下記図でHで示した差による位置エネルギーで水がバケツから植木鉢に移動します。ですから、Hの差が大きいほど水は速く移動します。この自動給水器の説明書に「水面が高いほど給水量が増え、水面が低いほど給水量が減ります」とあるのは、これをさしています。
バケツの水面と植木鉢の水面が同じ高さになってしまうと水を移動させるエネルギーである位置エネルギー(の差)が無くなってしまうので水は移動しません。
また、バケツの水面より高い位置でパイプ内に空気が入ってしまった時もバケツの外に水を移動させる位置エネルギーが無いので移動しません。
説明書には、土に挿し込む素焼き部分に水が溢れるほど満たしてからパイプを繋ぐことになっていて、パイプ内を水を満たせとは書いてありません。素焼き部分の水が無くなると内圧が低くなってパイプ内に水を引き込むという設計なのでしょうか?
このサイホンを使った自動給水器がうまく機能しないときは、先ず、パイプ内に空気が入っていないか?を確かめます。最初にセットするときに素焼き部分だけで無くパイプ内も水で満たしておく方がよいです。
素焼き部分の細かい孔は土に入れると詰まり易いので注意です。
ペットボトルを使った自動給水器も同様ですが、給水量を減って行く水量(ペットボトル内とバケツ内)と水が出る孔のバランスに頼っているので信頼性は無いです。
バケツやペットボトル内の水を電動ポンプを使って定時に流すだけという単純な自動給水器を安価に販売して欲しいですね。短期間なら水が多すぎて根腐れを起すより水不足で枯れる方が多いです。