身近な自然と科学

不味い肉を美味しく調理するコツ

肉を軟らかくする方法

  • 肉に生姜の汁を摩り込んで30分間ほど冷蔵庫で寝かし、調理するときには好みによってキッチンペーパーで生姜汁をとります。
    生姜に含まれる酵素が肉のコラーゲンなどの結合組織を弱くします。
  • 生の果物の汁を肉につける
    肉にパイナップルの薄切をつけて30分ほどおきます。
    パイナップルに含まれている酵素ブロメリンが肉のタンパク質を分解します

    肉を梨の汁に15分ほどつける
    梨に含まれる酵素プロテァーゼがタンパク質を分解します。

    その他、タンパク質分解酵素が含まれる果物には、リンゴ、マンゴー、パパイヤ、イチジク、キウィ、メロンなどがあります。
  • 舞茸の水抽出液に肉を1,2時間浸ける
    生果物の汁に含まれるタンパク質分解酵素を使う方法では、果物の匂いや味が肉に付くことがありますが、舞茸を使う方法では匂いや味が付く心配はありません。
    ステーキ肉(200g)の場合なら舞茸100gを包丁やフードプロセッサーで細かく刻み、刻んだ舞茸が浸る程度の水を入れて1時間ほどおきます。
    ビニール袋に肉を入れ、その中に舞茸を浸けた水だけ入れて密閉し、1,2時間ほど冷蔵庫で寝かせます。
    舞茸に含まれるタンパク質分解酵素エンドペプチターゼが肉を軟らかくします。

    舞茸を刻むときはミキサーは絶対使わないでください。酵素が空気に触れて効力が消えてしまいます。
    舞茸に含まれる酵素は舞茸自身も分解してしまうので新鮮な舞茸を使います。
  • 木材に筋の流れがあるように肉にも筋の流れがあるので、それを分断するように包丁目を入れる。
    加熱したときに縮まないので硬さが和らぎます

不味い肉を美味い肉にする方法

  • ビールに肉をしばらく浸けてから調理するかビールで煮てから調理する
    ビールに含まれるホップとアルコールが肉に旨みを増します。
  • すり下ろした玉ねぎと同量のサラダ油を混ぜたもので肉を浸けて冷蔵庫で1日寝かす。
    玉ねぎに含まれるタンパク質分解酵素が肉を軟らかくし、サラダ油が肉に旨みをつけます
  • 肉の臭みを取るには、玉ねぎを茶色になるまで時間かけて炒め、これを肉にからめる。
    玉ねぎの辛味成分ジサルファイドが甘味成分プロピルメルカプタンに変わり、肉に甘味を付け、臭いを消します
  • 赤身肉のように脂肪分の少ない肉は加熱するとパサツクので、肉に酢を振り掛けて、表面のタンパク質を変成させて旨みの流出を防ぎ、次に肉の表面にサラダ油を塗る。
    このときのサラダ油は、肉を加熱したときに肉の硬い原因になっているコラーゲンを溶かします。

かたまり肉の調理法

  • 煮豚などのように、かたまり肉を茹でる場合には水から茹で冷めるまで茹で汁に浸けておく。
    肉が冷えるときに茹で汁に流れ出た旨み成分が肉に吸収されます。

    焼き豚やステーキのように、かたまり肉を焼いたときには肉が冷めるまで切り分けない。
    肉が熱いときに切ると、タンパク質と水が離れるために肉汁が流れ出て不味くなります。

    かたまり肉を芯まで軟らかく焼くには、焼き上げたかたまり肉をアルミホイルで包み、更に保温材や新聞紙などで包んで冷めるまでの時間を長くします。
    余熱が芯まで伝わって内部まで軟らかくなります

質の悪い薄切り肉の下処理

  • 緑茶を薄めた水で茹でる。
    お茶に含まれるタンニンが肉の臭みを消します。
  • 薄切り肉は調理中に肉汁が出やすいので、肉の表面に小麦粉を薄くまぶす。
    小麦粉が加熱で固まって肉汁が出るのを防ぎます。
    仕上がりにとろみの欲しい料理では小麦粉の換わりに片栗粉を使います

肉に下味を付けるとき

  • 先ず、キッチンペーパーなどで肉の水気を拭い、調理直前に塩などを振り掛ける。
    塩が肉表面のタンパク質を変性させて肉汁の流出を防ぐ働きもします。
    ただし、塩を振りかけてから調理までに時間が経つと肉汁が流出してしまいます。

肉を焼くとき

  • 肉表面を直ぐに加熱するために肉を移動させる。
    加熱したフライパンに肉を載せるとその部分のフライパンの温度が下がるので肉汁が流れ出てしまいます。そこで、直ぐに肉を移動させて肉表面を加熱して肉表面のタンパク質を変性させて肉汁が出るのを防ぎます。