小麦粉の種類
小麦はイネ科の二年草(秋蒔き)の作物ですが、突然変異によって生まれた一年草(春蒔き)のものがあります。春蒔きは秋に収穫できるので主に寒冷地で栽培されます。
遺伝子的には、小麦の染色体数は7を基本とし、2倍体(2n=2×=14)の一粒系、4倍体(2n=4×=28)の二粒系、6倍体(2n=6×=42)の普通種に分類できます。
一粒系は古代に栽培されていたもので、現在は普通種が最も多く栽培されています。
ところで、 小麦は同じ品種の種を撒いても栽培地や栽培時季によって品質が異なります。
そのために、栽培作物としての小麦の名前は
産地+胚乳の硬さ(タンパク質の含有量)+種粒の色+栽培時季
で表されます。
胚乳の硬さ
- 硬質小麦(ハード)またはガラス質小麦
タンパク質の含有量が多く、胚乳部が硬い
強力粉の原料 - 軟質小麦(ソフト)
タンパク質の含有量が少なく、胚乳部が軟らかい
薄力粉の原料
種粒の色
- 濃赤(ダーク)
- 赤(レッド)
- 琥珀(アンバー)
- 白(ホワイト)
栽培時季
- 冬小麦(ウインター)
種蒔きは秋で、翌年の初夏に収穫 - 春小麦(スプリング)
種蒔きは春で、同年の夏から晩秋に収穫
小麦粉の分類
- 薄力粉
タンパク質の含有量がもっとも少ない(7.0~8.5%)
グルテンは軟弱で、粉粒は細かい
代表的な原料小麦は、アメリカ産ウェスタン・ホワイト - 中力粉
タンパク質含有量は、8.5~10.5%
グルテンは軟らかく、粉粒は薄力粉よりは細かい
代表的な原料小麦は、日本産普通小麦、オーストラリア産スタンダード・ホワイト - 準強力粉
タンパク質含有量は10.5~11.5%
グルテンはやや硬く、粉粒もやや粗い
代表的な原料小麦は、アメリカ産ウェスタン・レッド・ウインター - 強力粉
タンパク質含有量は、11.5~13.5%
グルテンは硬く、粉粒は粗い
代表的な原料小麦は、アメリカ産ウェスタン・レッド・スプリング - デュラム粉
タンパク質含有量は、強力粉とほぼ同じ(11.5~12.5%)
グルテンは軟らかいが、粉粒は非常に粗い
代表的な原料小麦は、アメリカ産ハード・アンバー・デュラム