犬が舌を出してハァハァする理由は、犬の浅速呼吸
私は室内で犬を飼っているのですが、この暑い時期は、犬は長い舌を出して「ハァーハァー」やっています。
ご存知の通り、犬は汗が出ない(注2)ので体温を下げるには、「ハァーハァー」するか、毛の少ない腹部を冷たい物に触れさせています。
長い舌を出して「ハァーハァー」する行為を“浅速呼吸”と言います。文字どおり、浅くて速い呼吸です。
呼吸で涼しくなるのか?
と愛犬と一緒に「ハァーハァー」やってみましたが、腹筋は鍛えられそうでしたが、疲れただけでした。
それに、呼吸と言っても筋肉を動かせば熱が発生して却って暑くなります。
で、犬はどうやって少ない運動量で体温を下げているかというと、口の筋肉だけを使い、鼻から吸い込んだ空気を肺に送らないで直ぐに口腔や長い舌に当てながら吐きます。 健康な犬の口腔や舌は常に濡れているので気化熱(注3)で体温を下げます。夏季になるとCMが出てくる「冷風扇」と同じしくみです。犬の浅速呼吸・冷風扇ともに湿度が高い所では冷却効果は小さいです。
犬種は不明なのですが、犬の居る部屋の気温を上げての実験で毎分410回の浅速呼吸後死亡した記録があるそうです。 夏季など気温けが高いときなどは、舌を出してハァハァしているから体温が下がっていると安心しない方がよいですね。
夏休みの自由研究にお困りのお子さんが居ましたら、気温と浅速呼吸の回数、犬種と気温と浅速呼吸の関係なんて如何でしょうか。
と思いましたが、愛犬には命がけの実験になりかねないので止めた方がいいようです。
体表面に気化熱で体温を下げる汗腺は無いし、蚊が媒介する犬フィラリアは命取りになるしで、犬は暖かい地域には向いていない動物みたいです。
と思いましたら、あの寒いロシアのシベリアにも少し暖かくなると大きな蚊が現れます。厳寒地なので、そこに棲む動物は、長毛と短毛の二重の毛皮コートを着たり皮膚も厚いでしょうから蚊も負けずに大型化したのでしょうか?
人を含めて病原菌に完全に勝てる動物は居ませんね
因みに、私たち人は運動中運動後に自然に任せて呼吸回数が増える以外は無理に呼吸回数を増やさない方がよいです。人によっては過呼吸(過換気症候群)になってしまいますから、 暑い時に呼吸で体温を下げてみようと試さないでください。呼吸で体温を下げられるのは犬の話ですから
注2:犬の汗
足の裏から少し出ます
注3:気化熱
液体が気体になる時に必要とする熱量。気体になる時に周りから熱を奪う。道路や庭などに水を撒くと涼しくなるのは気化熱のためですが、湿度が高いときは効果が少なく、また、湿度が高くなるのでかえって蒸し暑くなってしまう場合があります。