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安全に太陽の動きを観察する方法

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“太陽の動き”というのは天動説的ですね。事実は、地球が動いているので、地球上に居る観測者からは太陽が動いて見えるだけです。しかし、観測した値(太陽と地球間の距離は地球の半径よりはるかに大きいので地球を座標の中心にして観測した値とほぼ同じ)を太陽を中心にした座標に変換すれば、太陽の見える位置を観測することは地球の動きを観測することになります。
それはともかく、太陽の動きを観察する方法の中では、太陽が作る影の長さと方向を調べるのが眼に負担を掛けない安全且つ簡単な方法です。
下図のような物を作って下さい。
太陽の位置を観測する簡単な器具のイメージ図
木板か厚紙の端近くに適当な細い棒を木板に垂直に立て、木版(厚紙)の棒が接する所から棒の先端までの高さは$h$です。
観測するときは木板(厚紙)はどの方向にも水平になるように置きます)
水平に置くのは非常に難しく、水準器というものを使います。
水準器には一方向の水平を確かめるものが精度が良いのですが、ホームセンターで丸型の全方向の水準器が1000円以下で売られているので利用してください。
或る時刻での影の長さが$L$でしたら、紙に三角形POQと相似の三角形を描いて分度器で角PQOを測れば太陽の高度が判ります。
計算で求めるのでしたら
$$\tan(θ) = \frac{PQ}{QO}$$

$$= \frac{h}{L}$$ゆえに求める太陽高度$θ$は
$$θ = \arctan \frac{h}{L}$$ 時刻(日の出から日没まで)毎に影の長さと方向を記録していけば、日時計ができあがります。
⇒平面型日時計の作り方
この型の日時計は最も原始的で古代からあります。

ただし、貴方が観測している場所(経度)のその日だけの地方時の日時計です。
 日本の標準時は経度135度の線上で太陽が南中(真南)する時を12時0分0秒にしているので経度135度より東では早く南中し西では遅く南中します。ですから、日時計の影針が真南を指したときを12時とすると日本標準時とは異なってしまいます。
日時計が示した時刻は地方時と呼ばれます。
英国のグリニッジを基点にした世界標準時と日本標準時、観測地点での地方時の3つの時刻は、経度の差から変換することができます。天体の位置計算などでは重要な変換です。

因みに、たとえば、或る時刻の天体の位置などは計算で求めることができますが、これはあくまで推測です、正確な位置は天体が実際にその位置に到達してみるまでは判明しません。
万有引力を働かせる天体が無数にあり、その無数の天体の位置計算も推測で正確では無いからです。
実際に天体がその位置に到達した時刻を力学時と呼びます。