葉脈標本の作り方
葉脈標本というのは、葉にある栄養分や水分の通路である維管束だけを残したものです。
標本以外にも本の間に挟む「しおり」としての使い道があるために、「しおり」として市販されていることがあります。
この標本に適した葉は、椿、ヒイラギなど葉のしっかりしたものです。
私が中学生の頃、少年少女向け科学実験の本(書名など忘れてしまいました)で読んで、折良く家に苛性ソーダがあったので作った憶えがあります。
その後、2000年代になって今とは違うドメインのサイトで葉脈標本の作り方を公開し、そして、百円ショップで長さ10cmほどの葉脈の“栞”が売られているのを見つけたときはちょっと感動しました。
今思うと、当時は、押し花や葉脈で作った栞を挟んで本を読む人が多かったようです。
それを思い出して今日(2024年8月29日)、近くのダイソーとセリアで探してみましたがありませんでした
水溶液は眼に入ったら失明の惧れがありますから、万が一を考えて、メガネ、サングラス、水泳のゴーグルなどをして眼を保護して下さい。
用意する物
- 苛性ソーダ(水酸化ナトリウム) 適量
購入は、少し大きな薬局。無ければ取り寄せてもらえます。
天ぷら油で石鹸を作るときにもこの薬品を使うので、 身近に石鹸を作る人がいたら少し分けてもらうのも良いでしょう。
水酸化ナトリウムの代わりに重曹(炭酸水素ナトリウム)でも出来るようです。
重曹は菓子作りなどで使うものでスーパーで普通に売られていますが、ダイソーやセリアなどの百円ショップなどで洗浄用に売られているものが安いです。 - 琺瑯か、耐熱ガラスでできた鍋(なべ) 1個
水酸化ナトリウム水溶液を入れて煮るのでアルミとかステンレス鍋は傷みます。
この実験に使ったからといって鍋がダメになってしまうわけではありませんが、 使うなら洗剤でよく洗っても綺麗にならないものを使ってください。(水酸化ナトリウムで鍋表面が腐食して綺麗になる可能性があります)
幼児用ミルクの缶などの大きい空き缶を使っても作れます - 割り箸
- 歯ブラシ
- 板(木、プラスチック、厚紙など、なんでもよい)
- 鍋に水道水を入れ、水酸化ナトリウムまたは重曹を少しずつ入れて良く溶かして下さい。
濃度は、重量で10パーセントもあれば十分だと思います。 - 良く水洗いした葉を、手順(1)の鍋に入れ、鍋を火にかけて熱します。
水溶液を煮立てても構いませんが、強火にすると、水溶液が飛び散る可能性があるので弱火にして下さい。 - 煮ていると、緑色だった葉が褐色に変わってきます。
割り箸などで葉に触れてみて、葉肉がとれそうになったら、葉を良く水洗いしてから板の上に拡げます。
そして、歯ブラシで葉を叩くようにして、葉肉をとります。 - 葉脈だけになった葉に色をつけます。
私は、つけペン用のインクを使いましたが、水性絵の具や木綿布用染料など工夫して下さい。
ただ、湿気を吸うと色がにじむので、透明ニスをかけるとか、ラミネートするなど工夫してください。
私は、そのまま栞(しおり)にして本に挟んで使っていました。
補足
水酸化ナトリウム水溶液の濃度 水道水200ccあたり30グラム
歯ブラシで葉肉がとれにくい時はもう一度水酸化ナトリウム溶液に戻して煮るが、 全体が柔らかくなっているので、葉脈まで溶けないように注意すること。
葉肉がとれて葉脈だけになったものは、台所用漂白剤(塩素系)などで、漂白してから染めると良い。
以上が作り方ですが、薬品の取り扱いには十分注意して下さい。
水酸化ナトリウム以外にも使えるものはあると思います。
落ち葉が積もっている所で葉脈だけになった葉を見つける
葉が積もっている水辺や落ち葉が積もっている所で、自然に葉脈だけ残して葉肉が腐っているものを見かけることがあります。
上写真右側は落ち葉の積もっていた所で見つけた葉脈だけが残ったアケビの葉です。左側の葉は植物名は判りません。2024/10/27撮影
落ち葉の中から見つける方法は、見つけるのが難しいという他に見つけても植物名を同定するのも難しいのが難点です