光の媒質とされたエーテルとは
電磁波(通信に使う電波や光など)は、 { 電界 → 磁界 → 電界 → ・・・・磁界 → 電界 →}の繰り返しで伝わっていきます。
電界と磁界は真空中でも生じるので、電磁波は音波における空気の様な物は無くても伝わりますが、アインシュタインが相対性理論を発表する1905年頃まで、 電磁波にも波(振動)を伝える空気の様な物(媒質)が存在すると考えられていました。
この考えを提唱したのは、光学分野では必ず出てくるオランダの物理・天文学者ホイヘンス【Christiaan Huygens1629-1695】で、光を伝える媒質を『エーテル』と仮定しました。
光は宇宙空間でも伝播するので、地球上を含めた宇宙はエーテルで満たされると考えました。
エーテルは何だか判りません。
もちろん、化学物質のエーテルではありませんし、心霊話で出てくるエーテルでもありません。
「エーテル」の語源は、アリストテレスが火・水・土・空気の4元素説と天上界にある第5の元素として挙げている元素の名前からとったものというだけです。
このエーテルの存在を確かめようとしたのが、アルバート・マイケルソンとエドワード・モーレイで、地球はエーテルで満たされた宇宙空間を動いて(公転と自転)いるから、エーテルと観測地も相対的に高速で動いていると考え、地球が動く東西方向と動かない南北方向に進む光速の違いを見つけようとしました。
音の場合は、空気を媒質として伝わるので、媒質が動く強風の日には音の聞こえ方が違うという経験があると思います。 変な言い方ですが、音波は空気の動きである風に流され、媒質の種類やその状態によって伝わる速度が異なります。
しかし、マイケルソンとモーレーの実験では光速の違いは見出せませんでした。(1887年までの実験で)
この実験は目的からみたら失敗したのですが、逆に光速は一定であるという証明になり、アインシュタインの相対性理論へ発展します。