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円板型手紙重さ秤の作り方

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写真のように非常に簡単な秤です。市販品があります。
円盤型手紙重さ秤の構造図
上図で、F1とF2による回転モーメント が等しくなったところで円板の回転は止まりますが、おもりの重さや、おもりと中心からの距離を巧く取らないと、うまく機能しません。

回転モーメントとは

回転モーメント$M$というのは回転させようする力のことで、$F$とその力が作用する点と回転の中心からの長さ(距離)$l$とすると $ M = F l $ で表され、単位は力の単位$N$と長さの単位$m$の積なので$Nm$、反時計周りを正、時計回りを負とします。
上図では、ハガキや封書を下げる左側の回転モーメント$M_{1}$は反時計回りに働くので $M_{1} = F_{1} l_{1} \tag{1}$ 右側の回転モーメント$M_{2}$は時計回りに働くので $M_{2} = - F_{2} l_{2} \tag{2}$ となり、 $M_{1} + M_{2} = 0$ でつり合って止まります
力$F_{1}$、力$F_{2}$の単位はニュートンですが、 秤ではつり合えばよいので重さ(質量×重力加速度)と$l$の積で計算してもかまいません(モーメントの単位が変わるだけ)

円盤型はかりを作ってみた

自作した円秤型秤を使用しているところの写真
写真のものは、試しにつくったものなので、重さの目盛り板(円板)に厚紙
封書や葉書をつかむものに小型の洗濯バサミ、おもりに100円硬貨を使っていますが、工作の宿題用や実用品としてつくる場合は、目盛り板はアルミ板、アクリル板、木目の綺麗な木板などを使うといいでしょう。
目盛を綺麗に描く方法の説明図
板に文字などが描けないときは、けがき針のように板より硬いもので板を表面を掘るように描き、木版画の容量でそこに塗料を流し 込んで余った塗料は綺麗に拭き取って、乾いたら、板の表面に透明ニス などを塗って板の窪んだ所に流し込んだ塗料を保護します。

錘は金属が便利ですが、手っ取り速いのは釣り用の「鉛の板や塊」を使うことです。
鉛の有毒性(鉛中毒)が心配ならアクリル塗料やエポキシの接着剤を塗って直接手に触れないようにします。
小さなお子さんがいらしゃる家庭では鉛は使わない方がいいですね。

封書や葉書を掴む部分は市販品も洗濯バサミのようでした。
作るのは大変ですから、事務用品か日用雑貨のお店で適当な物を選んでください。

秤などで目盛りを正しく刻むには重さの分かっている物が必要です。
天秤ばかりの分銅が手に入れば正確に作れますが、だいたいの重さが判ればいいということで、硬貨を使ってみましょう。
硬貨の重さは、 1円:1g 5円:3.75g 10円:4.5g  50円:4g 100円:4.8g 500円:7g
となっています。
葉書と封書の秤ですから、重さの目盛りを郵便料金で表したり、併記すると便利です。